ななさんの季題研究「鰯雲(いわしぐも)」2017/09/20 07:08

 「衣被」と「鰯雲」の句会の季題研究は、前田ななさんの担当で「鰯雲」を 選択、見事に整理してあったので、よくわかった。 「鰯雲」は、気象学でい う「巻積雲」のこと、「小石を並べたような小さな雲片の集まり、さざ波の形な どをした薄くて白い雲で、陰はない。その広がりは小さいことが多いが、一端 が水平線にまでつらなっていることもあり、はなればなれになっていることも あるが、いずれにしてもかなり規則的な配列をしている」。

 「鰯雲」は、うろこ雲とも呼ばれ、細かい氷の粒からできていて、5千メー トルから1万5千メートルの高い空に現れる(エレベストの高さだ)。 やや 大きな雲片の集まりで、サバの背にある斑紋のように見える、鯖雲やひつじ雲 などと呼ばれる雲は、気象学で「高積雲」、2千メートルから7千メートルの中 層の高さで発生する。

 世界気象機関では、雲を10種に分類している。 1.「巻雲」2.「巻積雲」3. 「巻層雲」4.「高積雲」5.「高層雲」6.「積乱雲」7.「乱層雲」8.「積雲」9.「層 積雲」10.「層雲」。 それらの名前は、高さや形、雨を降らせるかで、あるル ールに従って付けられている。

 「巻」の字が付く雲「上層雲」…1.「巻雲」(すじぐも)。 2.「巻積雲」(う ろこぐも・いわしぐも)。 3.「巻層雲」(うすぐも)。

 「高」の字が付く雲「中層雲」…4.「高積雲」(ひつじぐも・さばぐも・むら ぐも)。 5.「高層雲」(おぼろぐも)。

 「乱」の字が付く雲「低層雲」、「乱」が付くと雨をもたらす雲とされる…6. 「積乱雲」(にゅうどうぐも・かみなりぐも)、「雲の峰」夏の季題。低い高さか ら、1万メートル以上にも達する。 7.「乱層雲」(あまぐも)。低い高さから、 4千メートルぐらいにまで達する。「乱層雲」と、下の「積雲」は、富士山から 立山ぐらいまでの高さ。

 「巻」も「高」も「乱」も付かない雲…8.「積雲」(わたぐも)いちばん雲ら しい雲、「わた雲」などと呼ばれている、好天の証し、しばらくは良い天気が続 く。 9.「層積雲」(うねぐも)、厚めのふわふわした感じで、空の低い所を覆 っていたら、たいていこの雲。 10.「層雲」(きりぐも)、最も低い所に現れる。 山肌などにへばりついて見えることが多く、手を伸ばせば届きそうな感じ。

 「鰯雲」などが、どのように出来るのか。 水・蒸気を含んだ空気が上昇気 流に乗って、空の高い所に運ばれると、空気が冷やされ小さな水の粒や氷の粒 になる。 これが雲で、太陽の光がいっぱい当たると白く輝き、雲は白く見え、 また反対に、雲の層が厚くて、太陽の光が通りにくいと、雲は黒っぽく見える。

 「鰯雲」などは、雲が細かくちぎれたような形をしている。 このような雲 ができるとき、上空では、上昇した空気が冷やされ下降し、対流がいくつも発 生している。 この対流を「ベナール対流」と呼び、これによって「鰯雲」の ような形になる。 大気において圧力と温度は比例するので、標高が高い上層 の空気は、大気圧が低くなるとともに温度も下がり冷え、温かい下層は空気が 膨張して、ベナール対流が起こる。 ベナール対流は、上空の空気が入れ替わ っているときに発生しやすく、それは高気圧が抜けて、前線や低気圧が接近し ているような時だ。 春や秋のように、移動性高気圧によって天気が移り変わ る季節には、ベナール対流が発生しやすい。 秋は空気が澄んでいるが、春は 霞んだ空なので、上空で「鰯雲」が発生していても見えないだけなのだ。

 冬に暖かい味噌汁を箸をつけずに置いておくと、味噌汁の表面に丸い形の模 様ができる。 この模様もベナール対流によるもので、味噌汁は上層の空気と 接して冷やされ、下層がまだ暖かいので、対流が起こる。

(雲の高さの画像は、下記の茨城県自然博物館のものをご覧下さい。)

https://www.nat.museum.ibk.ed.jp/education/kidspage/kids_research_4_2.html

「衣被」と「鰯雲」の句会2017/09/19 07:07

 14日は『夏潮』渋谷句会だった。 朝晩だいぶ秋らしくなってきたが、この 日は少し蒸し暑かった。 兼題は「衣被(きぬかつぎ)」と「鰯雲(いわしぐも)」、 私はつぎの七句を出した。

買おうかな亭主の好きな衣被

日本の醤油と生姜きぬかつぎ

いつぺんにつるりとむけて衣被

火葬場の煙まつすぐ鰯雲

太り肉の女ジョギング鰯雲

海の青濃さを弥増し鰯雲

鰯雲輪を描くとんび寄せつけず

 私が選句したのは、つぎの七句。

熱々を指吹きながら衣被           裕子

茹で上げて湯気盛大に衣被          和子

兄弟(おととい)は離れ離れに鰯雲      和子

谷戸の空半分にして鰯雲           孝治

さびしさに屋根にのぼれば鰯雲        さえ

鰯雲今は名のみの富士見台          なな

子に走り負けて仰げる鰯雲          祐之

 私の結果は、<日本の醤油と生姜きぬかつぎ>を祐之さんと真智子さん、< いつぺんにつるりとむけて衣被>を耕一さん、<火葬場の煙まつすぐ鰯雲>を 英主宰が採ってくれた。 互選3票、主宰選が1句、計4票、ちょぼちょぼと いったところであった。 <火葬場の煙まつすぐ鰯雲>の主宰選評は、「面白い 句。火葬場の煙は、薄い煙だけど、生々しい。その煙が、凝り固まって、命に なるのが鰯雲とも読める」。

 私が選句した句の主宰選評。 <茹で上げて湯気盛大に衣被>…狙いは「盛 大」のずれた違和感。 <兄弟は離れ離れに鰯雲>…おととい・おととえは、 クラシックな言い回し。二人のさまざまな関係、海彦山彦のようなのか、仲が 悪いのか、違うニュアンスを感じさせ、句にふくらみや物語をもたらす。 < 鰯雲今は名のみの富士見台>…とはいうものの、都会でもここは、空が広い、 まわりを見下ろすような場所だ。

ドイツのメルケル首相に感心する(再録)2017/09/18 06:44

   ドイツのメルケル首相に感心する<小人閑居日記 2015.5.9.>

 ちょうど2か月になるが、来日したドイツのメルケル首相の意見と発言には、 すっかり感心した。 書いておかなければと思いつつ、2か月が経ってしまっ た。 3月9日の安倍首相との首脳会談、会談後の記者会見、それに先立つ講 演(朝日新聞社、ベルリン日独センター共催)と質疑応答などの、主に朝日新 聞の報道で知った内容だ。

 第一は、ドイツの「脱原発」の決定。 物理学者から、ドイツの首相、欧州 を率いるリーダーとなったメルケル氏は、長年、核の平和利用には賛成してき た。 その考えを変えたのは、4年前の福島の原発事故だった。 この事故が、 日本という高度な技術水準を持つ国でも起きたからだ。 そんな国でもリスク があり、事故は起きるのだということを如実に示した。 自分たちが現実に起 こりうるとは思えないと考えていたリスクが、あることが分かった。 だから こそ、当時政権にいた同僚とともに、「脱原発」の決定を下した。 ドイツの最 後の原発は2022年に停止し、自分たちは別のエネルギー制度を築き上げるの だという決定である。

 第二は、隣国との関係。 ドイツは幸運に恵まれた。 悲惨な第二次世界大 戦の経験ののち、世界がドイツによって経験しなければならなかったナチスの 時代、ホロコーストの時代があったにもかかわらず、ドイツを国際社会に受け 入れてくれたという幸運である。 どうしてそれが可能だったのか? 一つに は、ドイツが過去ときちんと向き合ったからだろう。 そして、全体として欧 州が、数世紀に及ぶ戦争から多くのことを学んだからだと思う。 さらに、当 時の大きなプロセスの一つとして、独仏の和解がある。 和解は、今では友情 に発展している。 しかし、隣国フランスの寛容な振る舞いがなかったら、可 能ではなかっただろう。 ドイツにも、ありのままをみようという用意があっ たのだ。

 日独首脳会談では、東アジア情勢が取り上げられ、メルケル首相は「この地 域にアドバイスする立場にない」と前置きした上で、韓国と日本が良好な関係 を結ぶことを願うと言及した。 戦後ドイツでは、ナチスが行った恐ろしい所 業について、自分たちが担わなければならない罪について、どう対応するかと いう非常に突っ込んだ議論が行われた。 過去の総括が和解の前提になるとい うドイツの経験を、安倍首相にお話しさせていただいた。

 東シナ海、南シナ海における海路・貿易路の安全が海洋領有権を巡る争いに よって脅かされている。 これらの航路は、ヨーロッパとこの地域を結ぶもの で、その安全は自分たちヨーロッパにもかかわっている。 しっかりした解決 策を見出すためには、二国間の努力のほかに、東南アジア諸国連合(ASEAN) のような地域フォーラムを活用し、国際海洋法にも基づいて相違点を克服する ことが重要だと考える。 透明性と予測可能性こそ、誤解や先入観を回避し、 危機が生まれることを防ぐ前提なのだ。

 第三は、「言論の自由」。 メルケル首相は、言論の自由は政府にとっての脅 威ではないと思う、と言う。 民主主義の社会で生きていれば、言論の自由と いうのはそこに当然加わっているものであり、そこでは自由に自分の意見を述 べることが出来る。 法律と憲法が与えている枠組の中で、自由に表現するこ とができるということだ。 34~35年間、私は言論の自由のない国(東ドイツ) で育った。 その国で暮す人々は、常に不安におびえ、もしかすると逮捕され るのではないか、何か不利益を被るのではないか、家族全体に何か影響がある のではないかと心配しなければならなかった。 そしてそれは国全体にも悪い ことだった。 人々が自由に意見を述べられないところから、革新的なことは 生まれないし、社会的な議論というものも生まれない。 社会全体が先に進む ことができなくなるのだ。 最終的には競争力がなくなり、人々の生活の安定 を保障することができなくなる。

 もし市民が何を考えているのかわからなかったら、それは政府にとって何も いいことはない。 私はさまざまな意見に耳を傾けなければならないと思う。  それはとても大切なことだ。

 ドイツのメルケル首相、素晴らしい。 ヨーロッパ経済で一人勝ちのドイツ を率い、ウクライナの停戦交渉にはフランスのオランド大統領とともに徹夜の 交渉に立ち会い、クシャクシャの顔をしていたかと思えば、翌日はEUで元気 にその報告をしている。 ドイツの経済に必要と思えば、遠い日本にもやって きて、アドバイスをする。 こんな首相を持つドイツが、うらやましい。

「多和田葉子のベルリン通信」のメルケル首相2017/09/17 06:55

1993年「犬婿入り」で芥川賞を取った小説家で詩人の多和田葉子さんは、 1982年からドイツに住み、現在はベルリン在住だそうだ。 朝日新聞朝刊に随 時「ベルリン通信」を寄せている。 9月8日朝刊では、アンゲラ・メルケル 首相がどんどん国を変えていった話を書いていた。 メルケルは「鉄の女」な どという女性政治家のステレオタイプの渾名ではなく、若い頃はコール首相の メートヒェン(女の子)と呼ばれていたが、いつのまにかムッティ(母さん) という政治家としては悪くない渾名が定着した、という。

彼女の政権下でドイツは変わった。 まず、半世紀以上続いた一般兵役義務 がなくなった。 それが決まった2011年3月、メルケルは福島原発事故のニ ュースを深刻に受け止め、脱原発を宣言した。 そして15年には多数の難民 を受け入れた。 正義感と共感に突き動かされたメルケルの決断の速さは、右 寄りの政治家たちを動揺させた。 なにしろ彼女はドイツ最強の保守勢力であ るキリスト教民主同盟の党首なのだ。

今年になって、更に驚くべきことがあった。 キリスト教民主同盟は昔から 同性婚には絶対反対だった。 6月同性婚について質問を受けて、国会にかけ ることを約束し、夏休み前には多数決で同性婚の合法化が決まった。 メルケ ル自身は反対票を入れた。

メルケルは言論の自由を弾圧している国家と仲良くしすぎるという批判をよ く受ける。 しかし元共産圏やイスラム圏の政治家を頭ごなしに否定したり、 下に見たりしないので、相手にも受け入れられ、対話が途切れない。 潔白な 民主主義者から見たら濁りのある外交かもしれないが、国の代表者が武器で脅 し合うのでなく、話し合いを続けてくれた方が私たちは安心して暮らせる。 多 和田葉子さんは、そう言うのだ。

私も、2015年にメルケル首相が来日したあとで、「ドイツのメルケル首相に 感心する」を書いていた。 それは、明日再録する。

過去のブログの見方2017/09/16 07:16

 ある方に、「古いブログを読むには、どうすれば良いのですか?」と、訊かれ た。 そうか、自分では慣れていて、何も考えずにやっている。 ブログには 過去の題目と日付だけをたくさん出して、平気な顔をしていた。 ブログの右 欄外の説明も初期に書いたままで、親切に説明して来なくて申し訳なかったな、 と思った。

 その方には、こう説明した。

「ベオグラードに響いた信時潔の「塾歌」<小人閑居日記 2012. 6. 18.> のような古いブログを読むには、私のブログ 「轟亭の小人閑居日記」URL : http://kbaba.asablo.jp/blog を開け、右欄外の「バックナンバー」の一番下の << をクリックして、2012 年の6月をクリックすると、右欄外の「カレンダー」が2012年6月になりま す。 その18日をクリックすれば、読みたいブログが出ます。」と。

 なお、ブログを開けるのには、「轟亭の小人閑居日記」や「馬場紘二」(「紘」 の字は、「ひろこ」で検索すると出る)で、検索しても出る。

 ブログ「轟亭の小人閑居日記 馬場紘二」の右欄外の説明も、「過去のブログ の見方」として、こう書き直した。

〈過去のブログの見方〉 バックナンバーの一番下の〈〈 をクリックして出る、読みたい年月をクリック すると、その月のカレンダーになるので、読みたい日をクリックして下さい。

 と、いうわけで、わからないことがあったら、遠慮なくお尋ね下さい。 前に、こんなのを読んだけれど、何月何日だったかというのは、「カテゴリー」 の「索引」を見てみて下さい。