鯉昇の「お神酒徳利」に拍手2005/06/04 08:35

 春風亭鯉昇改め、瀧川鯉昇。 禿げ上がった権助顔の、この人は好き。 出 てくるだけで、嬉しくなる。 血圧が高くて、医者に熱演だけはしないように、 運動をするようにと、いわれているという。 運動をするが三日坊主、近所の 中国人は、見ていると毎日公園に出かけて、太極拳というのか運動をしている。  午前中、ずーッとやっている。 最近、中国ではハンニチ運動というのが盛ん らしい。

 「お神酒徳利」、出入りの八百屋が女中を驚かそうという悪戯から、占い八百 屋となるやり方でなく、鯉昇は二番番頭の善六を、ソロバン占いのいんちき名 人にした。 善六は煤掃き(暮の大掃除)の時、路地が抜け裏なのに、水甕の蓋 の上に置きっ放しにされていた葵のご紋入りのお神酒徳利が危ないと、水甕の 中に沈めておいて、忘れてしまう。 善六の女房が占いをする人の娘で、知恵 をつけ、三つだけ願いが叶うというソロバン占いを教える。 無事にお神酒徳 利を発見するが、そのお店は旅籠という設定で、鴻池善右衛門の支配人が泊ま っており、鴻池の十七になる娘がブラブラやまいだという。 そこで大坂へ八 卦見に出かけ、まず泊まった神奈川宿の新田屋源兵衛方は、島津の侍の荷物か ら五十両の巾着と公方様への密書が紛失したという大騒ぎ。 頼まれた善六が、 逃げやすい裏通りに面した中二階にこもると、親孝行の女中が白状しに来る。  お稲荷さんの床の下に隠してあったのを、女中にも、おろそかにされていたお 稲荷さんにも、具合のよいように解決する。(この一件は従来のやり方)

 大坂の鴻池善右衛門宅で、いよいよ絶対絶命のピンチに立たされた善六さん の枕辺に、神奈川宿の日原(?)稲荷大明神が立つのだ。 瓢箪から駒、とんとん とうまくいって、大名旅行で東海道を帰る言い立てまで、鯉昇の「お神酒徳利」 は見事に決って、ハッピーエンドの楽しい噺になった。 元来、失せ物専門の 占い八百屋は逃げ出して「大変です。今度は先生が紛失」となるのだった。 鯉 昇の脚色か、だれかが考えたのか、前に演った人がいたのか、それが疑問じゃ。