三茶・木久蔵さんと気が合う2006/08/05 07:16

 本井英先生の披講を前に、各自自己紹介と特選した句の、句評と感想を述べ る。 結果的にこの特選句、全員別々の句を選ぶことになった。 林家木久蔵 さんは、俳号を「とよ田三茶(さんさ)」、「とよ田」は本名の豊田洋さんから、「三 茶」はお住まいが三軒茶屋のあたりだかららしいが、当然「一茶」を意識して いるのだろう。 当り前だが、高座の顔とぜんぜん違うおそろしく真剣な顔を して、句会に臨まれる。 その三茶さんが「朝顔は江戸のつづきを咲きにけり」 を特選してくれた。 江戸のつづきに、朝顔の紫色、江戸紫を思い浮かべたと、 おっしゃる。 その上に三茶さんは、「猿の来る」「根岸の豆腐店」「逗子降りて」 も採ってくれた。 「朝顔は江戸のつづき」を弘子さん、桂子さん、渓山さん、 「猿の来る」を道子さん、桂子さん、山宗さん、「逗子降りて」を渓山さん、「ラ ンプの宿」を克巳さんに、お採りいただいた。 「時鳥」をたくさん出した割 には、望外の好成績というほかない。

 私は「届きたる西瓜は重し温かし」という句を特選にした。 西瓜にさわっ て「温かし」だけでなく、届けてくれて嬉しい気持の「温かし」も感じたと、 述べた。 これが、三茶さんの句だったのである。 ほかに選んだのは(敬称略)、

  潮涼し子鯊子鱸うちまじり      英

  暇乞ひするすいつちよの灯の下に   弘子

  木苺をまづ失敬し扉押す       同

  夏布団けって足首並びおり      三茶

  葛の蔓先は鎌首何狙ふ        道子

  草刈りしばかりの庭の香に溺れ    桂子

  車から降りた途端の時鳥       悦子

  ほととぎす杣道忽と消えてをり    翡翠

  手花火の燃え尽きて顔見えなくて   山宗