胡錦濤主席と靖国問題2006/08/13 07:41

 杉本信行さんの『大地の咆哮』の大事なところは、だいたい読んできたつも りだが、また問題が起こりそうな8月15日を前に、靖国神社問題で一つだけ 書いておきたい。 知らなかったことがあった。 現在の胡錦濤国家主席が靖 国問題にこだわる理由だ。 胡錦濤が地方の指導者だった頃、中央党校で研修 を受けた。 その時の同窓が胡耀邦の息子の胡徳平だった。 その関係で、胡 錦濤は胡耀邦と個人的に親しくなる。 その後、党の総書記になった胡耀邦は、 胡錦濤を共産党青年団中央書記処書記に抜擢し、これにより胡錦濤は14年間 過ごした甘粛省を離れ、中央政界入りを果たした。 つまり、胡耀邦は胡錦濤 の恩人である。 その恩人であり、最も親日的だった胡耀邦が、個人的な信頼 関係を築いたとされる中曽根総理の靖国神社参拝問題で批判を受け、その後失 脚してしまった。 それ以来、靖国神社問題は中国の指導者にとり、いわば鬼 門になった。 胡錦濤主席にとっては、自分の恩人の失脚に直接絡んでいる上、 ゲンをかつぐ中国人にとり、姓が同じ「胡」であることもあって、心理的に重 荷で、神経質になっているものと思われる、と杉本さんは指摘している。

 杉本さんは、靖国神社問題を、政治の力よりは、世論の力によって、日本の 国益を守る観点から、靖国神社にA級戦犯の分祀あるいはそれに代わる手立て を考えてもらう方向を、望んでいる。 日本神道が本来備え持つ柔軟性を発揮 すべき時なのではないか、と。