メディアの役割は権力のチェック2006/08/17 06:28

 「大本営発表」で、思い出した。 7月31日に浜離宮朝日ホールで、立花隆 さんと外岡秀俊朝日新聞編集局長の「徹底討論 ジャーナリズムの復興をめざ して」があり、その「まとめ記事」が9日の朝日新聞朝刊に出ていた。

  立花隆さんは基調講演で、こんなことを言っている。

 「プレスの役割は、基本的には権力のチェックだ。」「権力は暴走しやすく腐 りやすいが、同時に世論も暴走しやすい。そのチェックも報道の役割だ。」「日 本では、上からの情報をそのまま伝える「大本営発表」のジャーナリズムにな っていることも問題だ。具体的には記者クラブの問題で、抜け駆けをさせない ための協定など、世界の常識からみると異常だ。それは大政翼賛だった「1940 年体制」が、いまもメディアの基本構造の中に埋め込まれているからだ。」「戦 争の時代を振り返ると、軍人や権力者の一部以上に、国全体の世論、国民感情 が暴走していた。そこではメディアのチェック機能は働いていなかった。」「今、 現実に暴走が起きているのが小泉報道とイラク報道だ。小泉人気は、日中戦争 の直前、近衛首相が時の混乱を救う英雄のようにあがめられたあの時代の熱狂 と同じ。大義のないイラク戦争で、自衛隊は実際に何をしていたのか。戦時中 の従軍記者よりも、今日の新聞はその実相を伝えていない。」

 この指摘に対し、外岡編集局長は討論の中で「世論と権力が一帯で醸し出す 環境に、メディアが擦り寄っているのではないかという反省を改めて感じてい る」と、述べている。  立花隆さんは、「日本が戦争に巻き込まれていった頃の時代をちゃんと知ろう と新聞を縮刷版で読み始めたら、日本のメディアが戦争遂行に果たした役割が どれほど大きかったかわかった。同じことが今起こっているのではないか」と 言い、メディアは権力の「よいしょ屋」でなく「シラミ」になれ、と指摘して いる。