屋島の太三郎狸2006/08/31 07:06

 辰濃和男さんの『歩き遍路』の中に、香川の八十四番霊場・屋島寺の境内に、 大きな白い狸の夫婦像がある話が出てくる。 昔々、弘法大師が屋島にくる途 中、霧が濃くて道に迷った。 すると蓑笠姿の老人が現れて、大師を無事に山 上まで案内した。 その老人が、実は太三郎狸(たさぶろうだぬき)だった。 太 三郎狸は、数多くの善行を積み、土地の神として祀られ、「蓑山(みのやま)大明 神」「四国狸総大将」として崇められている。 辰濃さんの解釈は、狸で象徴さ れる野生・森・森に生息する生きもの・生きものに神をみる古くからの信仰、 そういったものと仏教とがこの地で結びついたのだろう、太三郎伝説は、神と 仏との共存の道が開かれたことを語る説話ではないか、というものだ。

 私は「四国狸総大将」から、井上ひさしさんの東京裁判三部作の第一部『夢 の裂け目』という芝居を思い出した。(くわしくは<小人閑居日記 2003.8.19. >紙芝居『満月狸ばやし』、<小人閑居日記 2003.8.20.>東京裁判の骨組み、 参照)  屋島の太郎狸は、屋島の年若い狸の殿様の首席家老である。 紙芝居 屋の田中天声は、寛政狸戦争の骨組みは、ご存じ東京裁判にもそのまま生かさ れ、テンノーヘイカを守るために、戦前戦中のすべての悪事を太郎狸ならぬ東 条大将と陸軍にそっくりかぶってもらおうというのだ、としゃべったのをGH Qの民間検閲部に転職している元特高刑事に聞かれ、GHQの独房「モンキー ハウス」に入れられてしまう。

小人閑居日記 2006年8月 INDEX2006/08/31 13:49

3129 『まほろ駅前多田便利軒』<小人閑居日記 2006.8.1.>

3130 まだまだ希望はある<小人閑居日記 2006.8.2.>

3131 壮大な句会が始まった<小人閑居日記 2006.8.3.>

3133 第一番「時鳥」の句会<小人閑居日記 2006.8.4.>

3136 三茶・木久蔵さんと気が合う<小人閑居日記 2006.8.5.>

3138 第二番「炎天」の句会<小人閑居日記 2006.8.6.>

3139 真剣勝負の緊張感<小人閑居日記 2006.8.7.>

3140 杉本信行さんの『大地の咆哮』<小人閑居日記 2006.8.8.>

3141 農民と都市住民では戸籍が違う<小人閑居日記 2006.8.9.>

3142 中国に内在する「三重の格差」<小人閑居日記 2006.8.10.>

3144 膨大な円借款に感謝のない事情<小人閑居日記 2006.8.11.>

3146 反日を越えて、重要な中国の安定<小人閑居日記 2006.8.12.>

3147 胡錦濤主席と靖国問題<小人閑居日記 2006.8.13.>

3148 絵の中の花鳥風月<小人閑居日記 2006.8.14.>

3149 ある本が書かれた理由<小人閑居日記 2006.8.15.>

3150 硫黄島からの手紙<小人閑居日記 2006.8.16.>

3151 メディアの役割は権力のチェック<小人閑居日記 2006.8.17.>

3152 日中戦争はなぜ拡大したのか<小人閑居日記 2006.8.18.>

3153 高校野球準々決勝と校歌<小人閑居日記 2006.8.19.>

3155 現地の独走と追認、そして南京事件<小人閑居日記 2006.8.20.>

3156 毛、周の「二分論」で国交回復<小人閑居日記 2006.8.21.>

3157 「二分論」で人民を説得した中国指導者の立場<小人閑居日記 2006.8.22.>

3158 千年的喫茶空間にて<小人閑居日記 2006.8.23.>

3159 『清富の思想』、遊びのすすめ<小人閑居日記 2006.8.24.>

3160 「遊び心」で世のため人のため<小人閑居日記 2006.8.25.>

短信 3161 歩くことと祈ること<等々力短信 第966号 2006.8.25.>

3162 「セーカイセーカイダイセーカイ」<小人閑居日記 2006.8.26.>

3163 海よ<小人閑居日記 2006.8.27.>

3164 茶洒 sahsya kanetanaka<小人閑居日記 2006.8.28.>

3165 清(チン)香(シャン)甘(カン)滑(ファー)<小人閑居日記 2006.8.29.>

3166 「アイランド留学」「清水交換」<小人閑居日記 2006.8.30.>

3168 屋島の太三郎狸<小人閑居日記 2006.8.31.>