権太楼の「代書屋」2007/10/02 06:31

 権太楼は、ネタ指定で苦労した歌武蔵とちがって、今日は楽、「いいんですか 「代書屋」で」と訊いたといって、嬉しそうに話し始めた。 細身で、横柄な、 世の中つまらなそうに生きている代書屋に、「デイショヤさん、デレキショ書い てくれ」という男がやってくる。 持って来いといわれて、うちにはないから、 隣のタケに聞いたら、こないだまであったんだけれど、おつけの実にして食っ ちゃったという、デレキショだ。 墨を磨る代書屋に、かけなさい、といわれ て駆け出す、なんで走るの、スワンナサイ、ふんどし締めなさい、はみ出して いる、となる人物だ。

本籍はどちら? 咳、出ない。 生まれた場所? 奥の四畳半。 お名前は?  秀樹。 姓は? 五尺八寸。 あっしは湯川。 むずかしい言葉で、一石二鳥。  同姓同名でしょ。 似てる。 似てんのは漢字が四つというのだけ。 あっしもこないだ天皇賞取った。 職歴で、ごたつく。 八月に今川焼屋をやったと いうから、「千住駅前で饅頭商を営む」と書いて、店賃が高いのでやんなかった で、一行抹消、ハンコ。 「十二月、錦糸町、巣鴨で露天商」、「ヘリドメ」下 駄の歯の、すぐ取れちゃうから買わない方がいい、「履物付属品を商う」と書い て、寒いから二時間でやめたというので、一行抹消、ハンコ。 それから、よ なぎ(げ)屋をやった、川の中に勤務す、とか書いてくれといわれて、「河川に埋 没したる物品を収集して生計を立つ」。 「生計を立つ」はいいねえ、あっしは 朝も立たねえ。 ほかに昭和26年6月15日、浅草、という鮮明な記憶があっ たが、「はじめてストリップを見た」で、一行抹消、ハンコ。

 新聞に写真が出たり、表彰状をもらった「賞罰」、去年六月、新聞社主催の町 内饅頭大食い大会で、八十六個ペローッと食ったという落ちになる。 ともか く、権太楼は楽しそうに演じ、その楽しさにこちらも乗せられて、とても愉快 になった。

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