我太楼の「転宅」2007/10/28 20:30

柳家太助改メ柳家我太楼の「転宅」。  黒の紋付に、仙台平(ということに しておこう)の袴。 丸顔、大きな丸い口で、アワアワしゃべる。 慌て者の ようで、わさわさしている。 3月に真打になった、権太楼の弟子だというの で、納得。

おれおれ詐欺のマクラ。 友人が会社で急に三週間出張を命じられ、奥さん に電話、「俺だ俺だ」と言ったために、信じてもらえず、名前を言っても信じな い。 「今、主人に代わります」と、男が出てきた。 これで艶笑小咄として 完結している。 我太楼が「結婚詐欺」と口ばしったのが、よくわからなかっ た。 このへんで、我太楼はもう大汗だった。

 長十郎梨(なし)衛門という泥棒が捕まって、「いつの時分から悪さをしている んだ」と聞かれ、「二十世紀です」と答える小咄が、可笑しかった。 「転宅」 の間抜けな泥棒の名前は、もぐら小僧の泥の助親分の一の子分で、イタチ小僧 の最後兵衛。 その泥棒に入られたお妾さんは、高橋お伝の孫で、半ぺんとい うのは嘘、菊と名乗る。 実は同業、なかま、まなかだといい、色仕掛けで、 間抜けな泥棒をだます例の噺だ。 翌日、泥棒がやって来るところが、爆笑の 聴かせ所なのだが、我太楼のは今一つだった。 我太楼、一生懸命やっている のはわかるのだが、それだけでは伝わらない。 遥かな道だ。