「小正月」の色は何色?2008/01/16 06:32

 私が選句したのは、つぎの七句。

卵色のカーディガン着て小正月       和子

練切の菓子桃色や小正月          同

書初の一字を案じをりにけり        同

古時計また遅れだす小正月         松子

何はとも賀状返礼筆始           なな

書初の墨磨り合ひて姉いもと        良

末っ子も五十を過ぎて小正月        さえ

 女性の句ばかりになっていた。 繊細な感覚が光る。 そうか、まだ正月気 分は抜けないものの、あらたまったものではない、小正月という雰囲気を、色 彩で表現してきたか。 卵色も、桃色も、いい。 カーディガンと、練切の菓 子も、うまい。 舌を巻く。 「練切の菓子」と「古時計」の句は、私以外に も選句した人が多かった。

 主宰の選句と句評の中から、いくつか。

書初を残して旅の一座の子          ひろし

 この作者独特のもの、ドラマチックだが、人間のぬくもり、味わいがある。

小康の友を見舞ふも小正月          松子

 「友」は、読む人にはわからない、損な言葉。 「人」とか「父」にした方 がいい。

勝といふ一字吉書にアスリート        芳三郎

 俳句にアスリートという語を使っていいかといえば、いい。 自由さが好ま しい。

書き初めや障子に写る鳥の影         啓司

 静かさがよく出ているいい句。 作り上げていない句のリズムもいい。