鹿島茂さんの『ドーダの近代史』2008/01/23 06:46

 「週刊ブックレビュー」が福岡伸一さんの『生物と無生物のあいだ』を特集 していたのは12月9日の777号で、その回に書評ゲストとして出ていた松岡 正剛(編集工学研究所所長)さんがすすめていた本も、面白そうだった。 そ れは鹿島茂さん(フランス文学)の『ドーダの近代史』(朝日新聞社)という本 である。

 「ドーダ」とは何か、と種を明かせば、「ドーダ、うまいだろ」「ドーダ、ま いったか」の「ドーダ」なのだそうだ。 それは自己愛から生まれるエネルギ ーで、たとえば幕末の尊皇攘夷思想に、最も強く表れている。 水戸学などは、 まさに自慢で、ロジカルに説明できない。 近代史の矛盾や、説明できないき わどいところを、鹿島さんは「ドーダ」で埋めていく。 鹿島さん曰く「歴史 は時としてドーダ人間を切実に必要とする」。 小泉純一郎は、ドーダ人間。

 ほかの書評ゲストで、この本を読んだ劇作家の坂手洋二さんは、だれもが自 己愛を否定できない、それを意識させられる。 それは島国根性で、海外に目 を向けることで、国内の矛盾が解消するという思い込みに走る(秀吉も、西郷 も)。 アイデアに夢中になって、現状から逸脱する、と。 編集者の仲俣暁生 さんは、われわれの商売などはドーダそのものだ、と語った。

 この日記、この本の面白そうなところを、「ドウモ」あまりうまく説明できず、 「ドーダ」というわけには、いかなかった。