轟亭の小人閑居日記 　　　馬場紘二

　28日の金曜日、大井町線に急行が走り始めた。　大井町から、旗の台、大岡 山、自由が丘に停まって、二子玉川まで、6分の短縮だという。

　ちょうど桜が見頃だろうと、家内と散歩に出た。　奥沢から目黒線で多摩川 まで行き、多摩川台公園から多摩川の土手を歩く。　夫婦でお弁当を広げてい る人や、ブルーシートを敷いて、宴会をやっている人たちもいる。

　 　　花見場所取るをぢさんの鞄かな

　　花の土手野球少年着替へをり

　武蔵工業大学のところから尾山台に上って行って、そうだ『暮しの手帖』（33 号）に出ていたオーボンヴュータンの苺ジャムを買おう、ということになった。　 お店は満員だった。　河田勝彦さんがいたので、『暮しの手帖』で拝見して、と 話しかけると、照れくさそうな顔をした。 　すぐそばのDA DA CHAというハム・ソーセージの店に寄る。　ここには最 近なかなか売っていない腸詰風のレバーペーストがある。　手造りのロースハ ムやウィンナーやレバーケーゼも、美味しい。　店の名前が枝豆で全国区にな った鶴岡弁の「おじさん」なので、せんに由来を訊いたことがあったが、忘れ てしまった。　そういえば、レバーペーストやミート・パイを買うことを覚えたのは、父親がそうしていたからだ。　今はなくなった銀座のケテルには、よ く行った。　白系ロシア人や、その前後にやってきたドイツ人は、何かと文化 をもたらしている。

　二子玉川に出て、自由が丘まで、急行に乗って帰ってきた。　二子玉川のホ ームには、おばあさんを連れた小さな子供や、最近は「鉄ちゃん」と呼ばれる 鉄道ファンがいて、写真を撮ったり電車に触ったりしていた。