志ん輔の「豊竹屋」 ― 2008/04/05 07:09
「豊竹屋」、あまり演る人はいない。 落語研究会でも、円生、林家正雀、円 弥、桂文我が、演っただけのようだ。 豊竹は竹本と並ぶ義太夫の流派だ。 義 太夫好きのおっさんがいる。 その名も豊竹屋節(ふし)右衛門、あくびが義太 夫の節ならば、起きるについてもすべての流れが義太夫になり、かみさんに普 通に起きられないのかね、といわれる。 長井好弘さんの解説によると、志ん輔の稽古を聞いた娘さんが「義太夫は知 らないけど、こんなヘンな人っているよね」とつぶやき、客に義太夫がわかる か心配していた志ん輔は、そうだこんな奴「いるいる」と思わせればいいんだ、 と気が楽になった、という。 こちらも当然わからない客で、あくびから、起 きるまでの義太夫でも、松王丸からお染久松、武田方やら明智も茫然、ちちち ちち、と混ぜこぜに登場する、その可笑しさが本当のところはわからない。 で も、わからないなりに、可笑しいのだ。
節右衛門さんのお宅でしょうか、と訪ねてくるのが、三筋三味線堀に住む、 めちゃくちゃ口三味線が好きだという男。 チー、チン、チンドン屋、隣の婆 さん洗濯、ジャブジャブジャブ、ジャブジャブ、シャボン、となんでも口三味 線にしてしまう。 さっそくの共演となる。
茶会のマクラが長かったせいか、本題の「豊竹屋」は、あっさりになった。 円生で忘れられない、熱い風呂に入って尻子玉がプク、プク、プクというのも、 演らなかった。 それでもなお、義太夫も、茶会のマクラも、こちらがわから ないながら楽しめたのは、志ん輔がかなりうまくなっている、脂が乗って来て いるという証左だろう。
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