「乗り物のトイレ、その先どこへ」2008/04/29 09:20

 2月4日に書いた「宮川幸雄さんの大連帰還」のもとになった宮川さんの「大 連に帰還せり―私の満洲旅愁紀行―」に、中国の列車で駅に止まる直前になる と、美人の女性車掌が来て、トイレを施錠する話があった。 発車すると、ま た来て、開錠する。 列車のトイレが落下式垂れ流しのためで、日本の鉄道で も、昭和40(1965~)年代まで落下式があったが、日本では「停車中は使用 しないように」という注意書きがあるだけで、いちいち施錠しなかった、と宮 川さんは書いていた。 私ももちろん日本の鉄道に落下式垂れ流しのトイレが あったことを知っている。 小であっても、駅構内でいたす時は、多少申し訳 ない気がしたものだ。

 それを読んで考えたのは、現在の貯蔵式になって、溜まった汚物は、最終的 にどう処理しているのだろうか、ということだった。 新幹線のターミナル駅 か車輌基地で、ホースをつないで、下水道にでも流すのだろうが、どういうふ うに、どのくらいの頻度でやっているのか、「超K」のご苦労な仕事があるのだ ろうと思ったのである。

 そんな余計な変なことを考える人はいないだろうと思っていたら、世の中同 じような人はいるもので、4月21日の朝日新聞朝刊「疑問解決モンジロー」欄 に、岡山県津山市の森脇信雄さん(60)が「乗り物のトイレ、その先どこへ」 と質問していた。 船では粉砕して海面下に排出するという解説のあとで、問 題の鉄道の汚物処理の説明がある。 「垂れ流し」は1950年代ごろから「黄 害」として社会問題化し、60年代後半(昭和40年頃からにあたる)に出て来 たのが「循環式」で、一度流した水に消毒液を入れ、再利用する。 しかし青 い消毒液が、使っているうちに茶色っぽくなって、においもしてくる難点があ った。 そこで空気圧の差を利用した「真空式」が出てきて、便器下のタンク 内の空気圧を低くし、トイレ室内の空気圧との差で、汚物を吸い込ませる、使 う水が少量で済む方式になった、という。  しかし、タンクに溜まった汚物を「その先どこへ」どう処理するか、説明が 無く、私は消化不良なった。 「糞便やる方なし」。

(asahi-net「アサブロ」不具合のため、アップが大幅に遅れました。)