歌武蔵の「風呂敷」2008/05/03 06:31

 30日は暑い日だった。 三遊亭歌武蔵は、ご存知元相撲取、でかくて太って いる。 2月の15,6日から初夏で、もうとっくに夏だ、という。 信号で待っ ているだけで、汗をかく。 それでオーデコロンを、一本。 飲むんです。 あ とで出た正蔵が、人の入った「芋俵」をかつぐところで、「重てえな」「歌武蔵 じゃあねえだろうな」と演って、受けていた。

 歌武蔵には、いつも厳しいことを書くけれど、出てきて毎度同じことを言う のは、いい加減によしたほうがいい。 もう、看板になったのだ。 特にこの 会など、何度も出て、どういう客が聴いているのか、承知していなければなる まい。

 縁、という話から「風呂敷」に入る。 夫婦の縁というのは不思議。 相手に「東チモールの人」まで出した。 夫婦喧嘩で、かみさんが出て行こうとし て「ひとのシャツ着てるんだから、返せ」、「お前だって、オレの猿股、穿いて やがって」

 やきもち焼の亭主を持ったおかみさんが、兄(にい)さん、お願いします、 と頼みに来る。 説教は「女、三階に家なし」に始まり、「貞女屏風にまみえず」 がドドイツで、「じかに冠をかぶらず、おでんに靴を履かず」 早くは帰ってこ ないはずの亭主がへべれけで帰ってきて、町内の新さんを隠した三尺の押入れ の前にどっかりと座る。 もう、牛の人、あまり早いから、もう寝ましょうよ。  歌武蔵が、あのデカイ顔で、鼻にかかった声を出す、ところがスゴイ。 一緒 になった当座にはよかったが、ワリバシを頭につっと挿して、肩や背中にトク ホンべたべた貼って、もう寝ましょうよ、はないだろう、と亭主。

 隣にいた仲間が、「歌武蔵、うまくなったね」と、言った。 私があまり感心 しなかったのは、先入観があるからだろうか。 座布団返しに出た前座が、床 に飛んだ汗を拭いていた。