長嶋「野球」の継承者 ― 2008/05/10 06:33
落合博満は熱狂的な長嶋茂雄ファンで、20歳の落合は1974年10月14日の 引退試合には後楽園球場へ行き、「長嶋とともに日本のプロ野球が終わってしま うのではないか」と本気で思いつめたほどだという。 長嶋が二度目の巨人軍 監督に就任すると、FAで中日から巨人に移籍、二度の優勝に大きく貢献した。 130試合目にリーグ優勝を賭けた1994年の10・8巨人中日決戦で、ホームラ ンとタイムリーを放ち、内転筋を痛め中畑清コーチに背負われて退場、長嶋監 督の胴上げに熱い涙を流し「男落合」となった。
ねじめ正一さんは、落合を自分と同じ「長嶋主義者」と見ているが、豊田泰 光さんは、違う意見だ。 落合が選手時代の長嶋は尊敬していただろうが、監 督と選手の関係になって、それがガタガタになった、いい反面教師になってい るはずで、謙虚になって、人の心がよくわかるようになり、日本一になった、 と見る。
でも、ねじめ正一さんは「長嶋者」だから、落合監督を長嶋野球の継承者だ と思い込んでいる。 長嶋さんと落合監督の魅力は、野村克也や星野仙一のよ うなただの指揮官でなく、野球に忙しくて、野球の本質にしか興味がないとこ ろにある、という。 この本では野村と星野はボロクソ(ここに書くのを憚る ほど)だけれど、どこかわかるような気がする。
ねじめさんは、リトルリーグから甲子園を経てプロ野球に至るエリートコー ス・ピラミッド構造の今の日本野球でない、かつての「草野球」の「打って、 守って、投げて、勝つ」遊びの延長としての野球を、落合の野球だとする。 落 合野球は、日本人の根本にある素朴さ、使い尽くす精神で、手持ちの素材を十 分に生かし切る「日本人の理想野球」だという。
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