小泉信三さんは典型的「慶應ボーイ」2008/05/19 07:07

 塩澤修平経済学部長は、小泉信三さんの活動を、経済学者、教育者、芸術・ スポーツの理解者・愛好者、言論人という四つの面から話した。  経済学については本職だから、かなり細かい専門的なことにまで踏み込み、 マルクス主義の学者、山川均、河上肇、櫛田民蔵との価値論争や、ジェヴォン ズやリカードの深い研究によって古典派経済学を身につけていたため、古典派 に異を唱えたケインズ(マクロ経済学)には批判的であったことに触れた。

 小泉信三さんは、福沢諭吉によって唱えられた「独立自尊」や「気品の泉源・ 智徳の模範」という抽象的な概念を、その生涯を通じて体現した典型的な慶應 人であった、と塩澤さんは言う。 人間を尊重し、個人の権威品位を敬う精神 (それは福沢に導かれたもの)。 勇気を持って、正論を唱える。 知性と幅広 い教養。 柔軟な発想。 常識的な判断。 「塾長訓示」(16日の日記参照) は「気品の泉源」の日常的規範。 心の正しさは容儀に表れると、外見にこだ わる。 スポーツでつちかった三つの宝、練習の体験(不可能を可能にする、 精神論でなく段階的進歩)、フェアプレイの精神、生涯の友。 余裕とユーモア。  歌舞伎や義太夫や落語(馬場の付記)を愛好し、一面では粋な遊び人でもあっ た。 小泉信三さんを典型として、多くの先輩によって実践されてきたそうし たもろもろこそ「慶應ブランド」だと、塩澤さんは語った。