瞬生画廊の「松田正平展」2008/05/23 07:11

 20日、朝方の激しい雨風が収まってきたところで、銀座に出た。 瞬生画廊 に「松田正平展」(24日まで)を見に行ったのだ。 瞬生画廊は並木通りの空 也ビルの2階にある。 家内が珍しく貼り紙がないからと、空也を覗くと案の 定、雨風のせいだろう、予約なしでも最中が手に入った。

 松田正平さんの絵は、好きだ。 実は、その素朴な署名も、好きなのだ。 油 彩の小品が3点。 あとは、水彩やグワッシュのスケッチが10数点。 やは り案内のハガキになっている4号の「バラ」がいい。 グレーっぽい地で、そ のグレーがそのままゆがんだ花瓶に使われている。 花瓶のひしゃげたのが、 いい加減なようでいて、どこか惹かれる。 それが正平さんなのだ。 スケッ チには、ピンクの「周防灘」、べら、いか、などがあった。 いいな、と思うの もあれば、ちょっと、というのもある。

 画廊のご主人は、なかなか松田正平さんの絵が集まらなくなった、という。  年々、高くなって、去年の売値が、仕入れ値だとか。 テレビでやって、人気 が出た。 ここで毎年やる香月泰男さんもそうだが、命日から展覧会を始める のだそうだ。 松田正平さんは、2004(平成16)年5月15日、91歳でなく なった。

亡くなった年の2月に出た画文集『風の吹くまま』(求龍堂)にある正平さ ん91歳の言葉、

「油絵がわからんから、生涯描くでしょう。本気で。/だから絵を描くのに邪 魔になるものは、できるだけ捨ててきた。/自分がきれいだなと思ったものを、 率直に表現したいというのが、/私の願いだ。」

「一気につかみたいような気分はあるね。/結局、線こそ命ですよ、絵は。/ 線がひけたらたいしたもの。」