『アウトドア般若心経』2008/06/19 07:13

 「紫陽花ゼミ」では、まず名誉住職と現住職の読経があり、一同、般若心経 と南無大師遍照金剛を唱和する。 成就院は真言宗大覚寺派、境内には弘法大 師像がある。

 「般若心経」の話である。 BS2の「週刊ブックレビュー」で知って、みう らじゅん著『アウトドア般若心経』(幻冬舎)を図書館で借りてきた。 みうら じゅんさんは、作家、漫画家、イラストレーター、エッセイスト、ミュージシ ャン、と紹介にある。 京都生れで、仏教への関心は小学生以来だという。 「般 若心経」は写経という行為がポピュラーだが、みうらさんは街に出て、「般若心 経」にある278字を看板の中に探し、写真に収めるという写経、写真経を思い ついた。 むやみやたらに歩き回り、だいたい三分の二ぐらい集めるのに半年、 そこからがグンとハードルが高くなった、という。 最初は自ら禁じていた他 人の手も煩わし、ネット検索も使い、求め求めて、ある文字は長崎県、ある文 字は岐阜県へと出かけて行く。

 そうして出来たのが、この本だ。 「摩」はクラブ摩天楼、「訶」はそば処訶々 庵、「若」はお兄ちゃんのチャンコ・ダイニング、「亦(やく)」は(有)勝亦地 所という不動産屋、「智」は上智大学、「滅」は「この世は滅び去る」キリスト 教布教の立看板といった具合である。 見るからに発見が難しそうなのが、「礙」 「顛」、阿耨(のく)多羅三藐(みゃく)三菩提の「耨」「藐」などだ。 「礙」 は治療院「無礙」、「顛」は石碑の中の顛末という文句、「耨」は塔婆の院号、「藐」 は和嶋工務店の「~今週の標語~人生は藐焉(ばくえん)ダイソーは百円」を 写している。 ただし「曰(わっ)」は平日の「日」、「羯(ぎゃ)」は「掲」、言 べんに帝の「言帝」は「帝」で、代用していた。

  みうらじゅんさんの無心の探求は、「自分って一体、何なんだ?」「いくら考 えても答えが出ないのは、そんなものは初めっからないからなんだよ」「ただ歩 こうよ!意味を求めずに今を生きよう」という「般若心経」の伝えたい核心に 達する。