土屋元作のニュージーランド研究 ― 2008/06/30 06:39
ニュージーランドで思い出したのだが、ちょうどひと月前の5月31日、福 澤諭吉協会総会後の記念講演で「ニュージーランド研究と慶應義塾―土屋元作 を中心に―」という話を聴いた。 講師は東北公益文科大学教授で学長の小松 隆二さん、慶應の名誉教授で常任理事も務めた方、専攻は社会政策、公益学、 ニュージーランド学。
土屋元作(1866(慶応2)~1932)は、大分県日出(ひじ)の出身、慶應義 塾の出身ではないが、福沢の信頼を得、役人を経て、1897年時事新報に入社、 以後大阪毎日、大阪朝日等で活躍。 この間、外遊を繰り返す。 福沢を敬愛 し、「修身要領」の起草や講演会に関わり、創立50周年の慶應義塾図書館建設 の発起人などを務めた。
小松隆二さんは、その土屋元作のニュージーランド研究が、現地に出かけて 調べてまとめた実証研究であるとともに、既存の水準を大きく超える先駆的な 著作だと評価する。 土屋元作自身が、新しいこと・未知のことへの挑戦と実 践を重視し、パイオニア精神とオリジナリティに富んだ先駆者の役割を高く評 価する人で、それは『新学の先駆』(1911)、『新聞の元祖―浜田彦蔵の事績―』 (1922)にもうかがえるという。 小松さんは、土屋元作という人物を福沢の 学校や新聞における先導的な役割に結びつけて、発明や発見、創造性がこれか らの日本に必要だとして、パイオニアや挑戦者の大切さを強調したのだった。
小人閑居日記 2008年6月 INDEX ― 2008/06/30 07:08
3892 柳家三之助の「片棒」<小人閑居日記 2008. 6.1.>
3893 柳亭市馬の「粗忽の使者」<小人閑居日記 2008. 6.2.>
3894 花緑の「花見小僧」<小人閑居日記 2008. 6.3.>
3895 小三治の「小言念仏」<小人閑居日記 2008. 6.4.>
3896 六代目小さんの「猫久」<小人閑居日記 2008. 6.5.>
3897 「福沢諭吉の近代化構想」その一<小人閑居日記 2008. 6.6.>
3898 「福沢諭吉の近代化構想」その二<小人閑居日記 2008. 6.7.>
3899 日本近代の基本線を一気に引いた福沢<小人閑居日記 2008. 6.8.>
3900 福沢文章のすごみ、比喩の面白さ<小人閑居日記 2008. 6.9.>
3901 ナンセンス的な面白さ<小人閑居日記 2008. 6.10.>
3902 いわゆる「楠公権助論」<小人閑居日記 2008. 6.11.>
3903 猪木武徳さんの講演に歯が立たず<小人閑居日記 2008. 6.12.>
3904 「福澤諭吉の人倫の思想」講演要旨<小人閑居日記 2008. 6.13.>
3905 「柿の花」と「短夜」の句会<小人閑居日記 2008. 6.14.>
3906 「柿の花」と「短夜」の選句と主宰評<小人閑居日記 2008. 6.15.>
3907 蟻は子供の頃からの友達<小人閑居日記 2008. 6.16.>
3908 降って湧いた前座話を引き受ける<小人閑居日記 2008. 6.17.>
3909 「紫陽花ゼミ」で話したこと<小人閑居日記 2008. 6.18.>
3910 『アウトドア般若心経』<小人閑居日記 2008. 6.19.>
3911 「ギャーテイ」は「行った者よ」<小人閑居日記 2008. 6.20.>
3912 福沢は門徒(浄土真宗)だった<小人閑居日記 2008. 6.21.>
3913 福沢の時代とイギリス<小人閑居日記 2008. 6.22.>
3914 奥平氏以前の中津城<小人閑居日記 2008. 6.23.>
3915 黒田孝高如水の賭け<小人閑居日記 2008. 6.24.>
3916 黒田の後の中津城<小人閑居日記 2008. 6.25.>
短信 3917 『広辞苑』の【福沢諭吉】<等々力短信 第988号 2008.6.25.>
3918 新幹線が走り出し『街道をゆく』が始まる<小人閑居日記 2008. 6.26.>
3919 文化財の保存と木曜島の話<小人閑居日記 2008. 6.27.>
3920 最初にニュージーランドに住み着いた日本人<小人閑居日記 2008. 6.28.>
3921 100年ぶりの親族対面<小人閑居日記 2008. 6.29.>
3922 土屋元作のニュージーランド研究<小人閑居日記 2008. 6.30.>
最近のコメント