氷河期から縄文までも気候変動 ― 2008/08/02 05:41
7月9日、10日、12日の朝日新聞朝刊文化欄に「歴史に探る気候変動」(渡 辺延志記者)という連載があった。 地球温暖化対策の手がかりや視点を歴史 の中に探ろうとするいろいろな分野の最近の研究を紹介し、過去に気候はどう 変化してきたのか、人間や社会はそれにどう対応してきたのかを、概観してい る。
10日の〈上〉では、西岡秀雄先生が「寒暖700年周期年表」で扱った紀元前 38世紀より前の、氷河時代(旧石器時代)から縄文時代まで約7万年間の気候 の推移を研究した信州大の公文富士夫教授(地質学)が、まず紹介される。 長 野県・野尻湖の湖底堆積物に含まれる樹木の花粉を分析する。 氷河時代は寒 暖の変動を繰り返し、なかでも縄文に移行する1万数千年前は振幅が激しく、 100年で7度ほど気温が上昇したこともあったらしい。 古代にも温暖化はあ ったのだ。 縄文に入ると、基本的に温暖な状態で安定した。
マンモスの研究に取り組む滋賀県立琵琶湖博物館の高橋啓一総括学芸員によ ると、北海道で出る化石から、マンモスが4万5千年~3万5千年前、2万5 千年~1万5千年前の二つの時期(寒期)に、ナウマンゾウ(温暖な落葉広葉 樹林帯に住む)がその間の3万年前の温暖な時期にいたことがわかる。 マン モスの絶滅をめぐっては、「人間の過剰な狩りが原因」という考えが長く支配的 だったが、近年では温暖化説が力を得ている。 最後とされるマンモスは北極 海で見つかっている。 人間のせいでなく、気候変動で環境が変化し生きる場 を失ったという見方だ。
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