「遊行のネットワーク」 ― 2008/08/26 06:43
松岡正剛さんの日本文化史、仏教についての話は、「旅する西行」「遊行のネ ットワーク」へと進んで行く。 「浄土教」では「阿弥陀仏」の名号を唱えて 全国の民衆を勧化(かんげ)して歩く僧が現れる。 代表的なのが「市の聖(ひ じり)」といわれた空也上人。 西行も能因法師にあこがれて、全国の「歌枕」 を訪ね歩いた。 網野善彦さんは非定住型の人々を中心にした歴史観を説いた が、そうした遊行の民、僧侶や芸能者(白拍子、傀儡(くぐつ)子、琵琶法師) などが、鎌倉時代以降の芸能や文芸やアート、さまざまな技術や技能の多くを つくった。 アウトサイダーのかれらは、自由勝手に各地を巡って、情報を運 ぶネットワーカーだった。
一遍上人の「時宗」では、さまざまな芸能者がこぞって信者になり、それら 「時衆」は名前に「阿」や「阿弥」の字を付けた。 猿楽から能をつくった観 阿弥・世阿弥、田楽師の頓阿・善阿、庭師の善阿弥、「立花」の立阿弥・文阿弥 などで、今日、日本の伝統文化と呼ばれるものの原型を「阿弥」たちが用意し た、と松岡さんは言う。 一遍の教えは分かりやすい。 教えを広めるために 「遊行」しなさい。 「賦算(ふさん)」といって、極楽往生を保証する念仏札 を、縁ある人に配りなさい、というものだった。 一遍はまた、「念仏踊り」を 布教に取り入れた。 日本では、乱世になると大群衆が踊りまくる。 桃山時 代の「風流踊り」も、幕末の「ええじゃないか」も、そうだった。
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