多田富雄さんの「美しい日本 四つの特徴」2008/08/28 07:14

 6月、朝日新聞朝刊が、多田富雄さんのインタビューを連載した。 その9 回目(6月20日)に「美しい日本 四つの特徴」というのがあった。 多田さ んは、美しい日本のルーツは何か、その四つの要素を挙げる。

 (1)「アニミズム」の文化。 自然崇拝、自然信仰だ。 絶対的な神はもた ないで、自然の中に無数の神を見つけ、それを敬ってきた。

 (2)「象徴力」。 俳句や和歌は、事実の記載でなく、たった一言で世界を 表現した。 能、歌舞伎などの芸能、茶道、華道にいたるまで、豊かな象徴力 に支えられている。

 (3)「あわれ」という美学の発見。 「もののあはれ」はもちろんのこと、 もっと広く、滅びゆくものに対する共感、死者の鎮魂、人の世の無常、弱者へ の慈悲など、あわれなものへの思いが、日本の美の大切な要素になっている。  強さ、偉大さ、権威などを価値とする外国とは違った日本独自の価値観だ。 そ れは日本人の心の優しさ、美しさ、デリケートさへの根源である。

 (4)それらを技術的に包み込む「匠の技」。 美術はもちろん、詩歌や芸能 でも、細部まで突き詰める技の表現がある。 「型」や「間」を重んじる独特 の美学だ。 それはまた日本の優れた工業技術へのルーツでもある。

 この四つの特徴が、日本の美しさを世界でも独自なものにしてきたし、日本 人の行動の規範にもなってきた、と多田富雄さんは言う。