一琴の「鬼の面」後半2008/10/07 07:15

 一方、おせつがいなくなった伊勢屋は大騒ぎ。 ちょうどよい枝ぶりの松の 木や、川の方、台所の井戸の中なんかを、みんなで探している。 旦那は、お かみさんに、女の奉公人はお前の係りだからと、真綿で首を絞めるようにチク リチクリといじめたりはしなかったのか、と聞く。

 そこへ、父親に連れられたおせつが戻り、事情が分かって来る。 「いじら しい子だね、誰がそんなくだらないいたずらをしたのかしら、誰?」小さくな って「私」と、旦那。 「まぁ、この人は、ひどい。真綿で首を絞めるように チクリチクリ、なんて言っておいて」

 おせつの父が手拭の中の金を数えると、200円、私はこれから警察に行って きます、と出かけようとする。 旦那は、博打の金なら、私のお金だと名乗っ て来る人はいない、いずれあなたの金になるだろう、という。 鬼さん、どう もありがとう、来年の今頃は大金持だ。 今、鬼の面が、ニコッと笑いません でしたか。

 一琴、十分にストーリーテラーの役を果たして、面白く聴かせた。 出てく る人物も、みんな気持よく、結局は勧善懲悪になっているのも、本筋だった。