読んできた著者達の訃報2008/11/02 07:07

 新聞の訃報で、9月30日に江國滋夫人の勢津子さんが亡くなったことを知っ た。 最近は江國香織さんのお母さんといったほうが通じるか。 80歳とあっ たが、1997年に江國滋さんは62歳11か月で亡くなっているから、だいぶお 年上だった勘定になる。

 このところ新聞の訃報で、連続して私が読んできた方々の死を知り、時代の 流れを感じている。 9月14日には、小島直記さん、55年に「人間勘定」で 芥川賞候補、政財界人の伝記などの伝記文学を多く発表した、とある。 『福 沢山脈』(河出書房)、『福沢諭吉』(学研)、『桃介・独立のすすめ』(新評社)、 『一期の夢(福地桜痴)』(実業之日本社)は、いまもわが書棚に残っている。  松永安左ェ門、池田成彬、小林一三、石橋湛山などについても、教えられると ころが多かった。

 9月30日には、NHKの元ディレクターだった吉田直哉さん。 『脳内イメ ージと映像』(文春新書)を「等々力短信」第835号1999.3.5.で、『敗戦野菊 をわたる風』(筑摩書房)を第902号に「「もうせん」あったこと」と題して、 紹介したことがあった。

 10月16日には、森田誠吾さん。 86年に「魚河岸ものがたり」で直木賞を 受賞した。 その作品に出てきて印象深かった築地場外市場・海幸橋の所にあ る波除神社は、訃報の翌18日に築地・明石町散策で訪れたのだった。 その 著『明治人ものがたり』(岩波新書)と森田誠吾さんその人について、「等々力 短信」第825号1998.11.15.「本が本を呼ぶ」に書いていた。