喜多八の「二十四孝」 ― 2008/11/24 07:12
「次に出るのは「脱力系」」と、隣の席の友人の代りに聴きに来ていた息子さ んに、私は言った。 「お互いに、夏の疲れが抜けませんな」と、喜多八は始 めた。 「二十四孝」は、ご存知、とんでもない親不孝者に、大家さんがお説 教する噺だ。 隣の猫に鯵を盗られた男、俺が猫を食ってやろうかと睨んだが、 猫はニャンとも言わない。 隣の女世帯に文句を言いに行こうとして、お隣か らはお足を借りているというカカアの横っ面をなでた。 シワが横によってい るチョウチンババア、縦によっているカラカサババア、縦横によっているチリ メンババア、何しろ古くからウチにいる、三年前にくたばったオヤジの連れ合 いらしい。 そのババアが「これをブツなら、私をおブチ」と言ったから、ブ タないで、あらためて蹴飛ばした。 と聞いて、大家は「タナあけろ、出てけ!」、 男は「オトワヤー」
大家の説教。 美濃の国のきこりが父に飲ませたいと願って、滝の水が酒に なり、養老元年と年号も替わった養老の滝、青緡(ざし)五貫文の褒美を貰っ た。 モロコシでも、母が寒中に鯉を食いたいというので厚氷の池に裸で腹ば いになった晋の王祥、寒中に筍を掘った孟宗、蚊帳のない父を安眠させるため に身体に酒を塗った呉猛、親孝行の徳が天の感ずる処となって、池にも落ちず、 蚊にも食われなかった。 親孝行をすれば、酒は呑み放題、小遣いにも困らない。 と、男は親孝行を 試みるのだが…。
喜多八、親不孝者の悪そうなところがガラで、なまかじりの親孝行話をタツ ンベにする辺りに、とぼけた味も出ていた。
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