「新植民地主義」と「新自由主義」2008/11/28 06:57

 今、われわれが生きている世界は、社会は、どんなところにあるのか。 松 岡正剛さんは、その巨視的な世界のつかみ方で、現在の問題点まで解説してく れる。

 第二次大戦後の「パックス・アメリカーナ」には、「反共主義」と、「新植民 地主義」と、「新自由主義」がセットになっていた、という。  「新植民地」というのは、大国の関与によって「半分だけ自立した」国や地 域をいう。 政治的に独立していても、軍事基地がおかれていたり、経済的に 独立していない国や地域だ。 独立前のアルジェリア、コンゴ、ザンビア、ジ ンバブエ、そしてチリなど中南米の国々。 松岡さんは「今日の日本は軍事基 地があるかぎり、いまなおアメリカの新植民地だということになる」として、 松岡さんが好きだという漢字学の白川静さんが「日本はまだアメリカの属国だ」 といっていたのを紹介している。(平凡社新書の11月新刊で松岡正剛著『白川 静―漢字の世界観』が出た。白川学の全体像をわかりやすく描いた入門書の由)

 「新自由主義」をわかりやすくいえば、「市場原理主義」と「小さな政府」に よる資本主義を展開していく政治方針のことだ、と松岡さんはいう。 その前 の1930年代の経済恐慌を反省した「自由主義」政策では、「福祉国家」をつく り、格差をなくして「所得の再分配」がゆきとどくように、ケインズ理論によ る「大きな政府」が「公共投資」で関与した。 70年代に「エネルギー危機」 「南の問題」、物価高騰と不況が同時に襲う「スタグフレーション」などの情勢 の変化によって、イギリスのサッチャー政権とアメリカのレーガン政権は、ほ ぼ同時に「反ケインズ政策」に踏み切る。 福祉政策を縮小し、国による基幹 産業への関与を減らし(イギリスでは国有企業の半分を民営化、アメリカでは 航空業やトラック運輸業の規制を取り払う)、税率を下げた。 いわゆる「民活」 「規制緩和」、これが「新自由主義」だ。 「小さな政府論」は、新保守主義(ネ オコン)ともいわれる。

 日本では、中曽根政権から、小泉改革までが、まるまる「新自由主義」を踏 襲した政策だった、と松岡さんは説明する。

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