アメリカの「年次改革要望書」2008/11/29 07:15

 小泉純一郎首相があれほど郵政民営化に過剰な自信を見せたのも、その方針 が「小さな政府論」にもとづく「新自由主義」になっていると思っていたから だ、と松岡正剛さんはいう。 もっとはっきりいえば、ブッシュ政権が対日経 済戦略を突きつけた、日米間でとりかわされている「年次改革要望書」に日本 での政策実施を強く要望した、と。 それで、役所の仕事を民間の競争入札に していくという「市場化テスト法」に典型的な民営化路線の政策が実施された。

 バブルが崩壊し、急速に景気が後退したところに、消費税の引き上げやゼロ 金利政策解除の失敗、不良債権処理の先送りなどによる大手金融機関の経営の 失敗などがつづいたと、解説される「失われた十年」があった。 しかし、そ の「失われた十年」は、1989年の日米構造協議に端を発したアメリカの要請に、 日本が応じすぎたということが要因になっていたことがわかってきた、と松岡 さんは書く。 この日米構造協議は、その後はアメリカの「年次改革要望書」 として毎年、日本に突きつけられることになった。 このことを最初に書いた のが関岡英之さんの『拒否できない日本』だそうだ。

 小泉・竹中改革が、これまた「新自由主義」による要望に対応しつづけたの で、「失われた十年」のあいだに日本に上陸しきった病根は、いまだに除去でき ないままになっている。 曰く「主権在米の日本経済」「証券化の嵐」「金融工 学」「リスクさえも商品になる」などなど。

 松岡さんの指摘は、今日の事態を言い当てているようにも見える。 「年次 改革要望書」、新聞で読んだ記憶はあるが、関心を持って調べてみたい。

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