「網羅しなければ見えてこない」2008/11/30 07:25

 松岡正剛さんには、書物やメディアを通して、情報や知識が起した出来事を モーラ(網羅)してみたいというやむにやまれぬものがあるという。 『情報 の歴史』(NTT出版)という格別の年表本をつくった。 アルタミラの洞窟画 から、ベルリンの壁の撤廃までの出来事を、十万項目ほどの情報アイテムにし て、タテヨコ大小の見出しをつけて、「立体年表」のようにしたものだ。 日本 の出来事と世界の出来事が、まぜこぜに、かつ同時に見られるようにしたのが 自慢だと、その見開き2ページを図版にしている。 1790(寛政2)年から1799 年まで、5本の情報トラック「革命から共和制へ」「経済と社会の構図」「博物 学と技術革命」「古典主義の完成」「ロマンとメディア」があり、「ドイツ・ロマ ン主義」という6本目の別トラックが出てきている。 大見出しから「ポーラ ンド分割の悲劇」「ナポレオン登場」「マルサス人口論」「種痘」「ハイドン全盛」 「写楽」「ゴヤ」「洒落本から読本へ」「サド」が、同じこの十年間のことだとわ かる。 デザイナーは戸田ツトムという人を起用したそうだ。

 松岡さんは、デザイナーの杉浦康平さんの力をかり、5年がかりで『全宇宙 誌』をつくったり、「アート・ジャパネスク」として知られる全18巻の『日本 の美と文化』(講談社)を編集構成したり、トヨタから読売ジャイアンツ、ヤク ザまでいろいろな組織図をすべて同じフォーマットに描き変えて、同じ目で見 られるようにした『日本の組織』全8巻(第一法規出版)をまとめたりした。 『松岡正剛千夜千冊』(全7巻+特別巻)の壮大な試みは、いうまでもない。

 モーラしてみなければ見えてこないものが、ゼッタイにある、と確信してい るからだそうだ。 モーラをどのように構成するか、表示するか、また、その モーラの世界にどのように入っていくようにするのか、その結構工夫のいると ころが「編集工学」の出番らしい。

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