小三治の「病気」 ― 2009/02/26 07:18
23日の月曜日、1月27日の日記で期待の弁を述べたドキュメンタリー映画 『小三治』を観てきた。 神田すずらん通りの東京堂の裏手、神保町シアター (神保町花月というのが併設されているから吉本興業の小屋らしい)、この日初 回の12時からの上映、20分ばかり前に着いたら100席らしい劇場の整理券が 83番、前から二列目になりそうだけれど、いいかといわれた。 かぶりつきで、 『小三治』を見ることとなる。
小三治が、上野の鈴本に出勤して来る。 ふだん高座を見るだけで、楽屋は 知らないから、楽屋の厳しさや上下関係を、この映画で初めて見た。 小三治 が入ると、楽屋の空気はピリピリしてくる。 小三治が持参した桐の小箱を、 前座の女の子(柳亭こまち―燕路の弟子)が「開けてもいいか」と訊く。 昨 年秋、NHKの「プロフェッショナル」の密着で、前座が高座に出し忘れた蓋 つきの茶碗である。 あの番組で小三治が病気(リューマチ)なのを初めて知 った。 大量の薬で免疫を抑えているため、風邪を引いても命にかかわる、と。 茶碗の中身は煎じた漢方薬だという。 長く小三治を見て来たが、そんなこと は、客席では少しも感じなかった。 「病気んなって、自分以外の人の助けを 借りて生きるようになって、もう20年になる。それ、大きかった。病気にな って、よかった。人の有難さとか、痛みを知る(痛い病気だから)ようになっ た」と、あの時、言っていた。 「人生のすべてが、落語に出る。客は、人柄 を聴きに来ている」とも言った。
映画に、北海道で車を運転している場面があった。 雨の中をオートバイで 走っているのを見かけると、つい手を合わせて拝んじゃう、俺の姿かと思う、 と言う。 今は、病気で乗れなくなったけれど…、と。 食事をする所に着い て、50~60種類のいろいろな(サプリメントのような)ものを飲む。 一番最 後のが、薬だ、と。 そして、(死を意識するような)それだけの場所(場面= 年齢)に来ている、決心のようなものがある、と話す。
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