小沢一郎さんが尊敬する福沢と龍馬2010/09/09 06:46

 小沢一郎さんに『小沢主義 オザワイズム―志を持て、日本人―』(2006年・ 集英社インターナショナル)という本がある。 小沢さんはその中で、尊敬す る人物として、福沢諭吉と坂本龍馬を挙げている。

 小沢さんは、「何よりも大事なのは、自分の中に確固とした価値観やモラルを 確立することであり、正しいと信じたことをやり抜く勇気を持つことだと思う」 といい、その点で福沢諭吉を尊敬するという。 「福沢諭吉は幕末明治期にお ける最も優れた知識人だった。いや、当時の東アジアにおける西洋文明の最高 の理解者であったと言ってもいいだろう。/彼ほどの人物なら、望めばいくら でも新政府の中で立身出世ができただろう。事実、福沢は何度も維新政府から の求めを受けている。/だが、彼は自己の信念として、官に仕えることを良し とせず、「在野の人」でありつづけた。/あくまでも彼の判断基準は「日本およ びアジアの独立と近代化」というところにあって、自己の栄達を目的にしたこ とは、一度もなかったのだ。彼の目はつねに日本人、そして広くはアジア全体 の未来に向けられていた。/彼が創設した慶應義塾も、広く在野の人材を育て ることを目的としていて、東大のように「役人養成学校」となることを良しと しなかった。また、彼は『学問のすゝめ』をはじめとする、たくさんの啓蒙書 を書いている。彼の目はつねに日本人全体に向けられていたのだ。/僕は彼こ そ、真の意味での近代人であると思っている。」

 小沢さんは、「人はともすれば「現実の重み」に引きずられて、抜本的な改革 を避け、小手先の改良を選択しがちである」として、「本当のリーダーには現実 を熟知した上で、現状のどこが問題で、それを抜本的に変えるためにはどうし たらいいかを考え出す発想力、先見性が必要とされるのだ」という。 その意 味で、尊敬するのが坂本龍馬。 多くの志士たちが「公武合体」という小手先 の妥協案の実現を模索する中、ひとり坂本龍馬は「船中八策」という新ビジョ ンを提出、新国家構想ともいうべき、幕府の大政奉還、その後の議会の設置な ど、当時の日本では誰も想像しなかった未来像を具体的に提案した、と指摘す る。