桜ヶ丘吟行、僥倖の結果と主宰の選評2010/12/07 06:57

 都立桜ヶ丘公園吟行句会の結果。 互選では〈晴れわたる多摩の横山山粧ふ〉 を啓司さん、孝治さん、〈源平の山茶花によく日の当り〉を孝治さん、〈知恵の 矢の降つて来さうな冬木立〉を祐之さん、善兵衛さんが採ってくれて5票だっ たが、主宰がその3句に加え、〈枯葉踏む向かうの丘に日の当る〉〈小春日や明 治の帝顔長し〉〈冬の日や若き元勲皆能書〉も採って下さって計11票。 参加 者が少なかったこともあろうが、僥倖というべきだろう。 幹事の善兵衛さん ご苦心の吟行地も心地よいところだったが、結果にもまた、気分をよくしたの であった。

 主宰の選評。 「晴れわたる」…漢詩のように大景を堂々と見据え、山・山 と重ねた十二分のテクニックも嫌味にならず、心地よい。 「源平の山茶花」 …白赤咲き分けの山茶花。山茶花はどちらかというと、もにゃもにゃした暗い、 陰のある花だが、今はそれに明るく日が当っている、ある山茶花の気分を詠ん でいる。 「知恵の矢の」…いい句、格も高い。冬の雑木林にいると、自在に 光線が降り注ぎ、そう太くない木々の木肌もきらきらと、知的にクリヤーにな ったような気分になる。 「枯葉踏む」…叙情的、向かうの丘にも枯葉が見え る。「枯葉」が問題。俳句で「枯葉」は枝についている状態、降っているのは「木 の葉」、下に落ちて「落葉」。「落葉」とした方がよい。 「明治の帝」…昔なら 不敬罪。「小春日や」がどうか、十一月三日を思わせる、明治天皇の父のような 慈愛と読むか。 「若き元勲」…一読「若き元勲」に疑問を持つが、維新の英 傑の書が若書きなのに巧いのを詠んでいる、面白い句。

 書き出してみると過褒。 「枯葉」、「木の葉」、「落葉」の違いも知らなかっ たのが、恥しい。 シャンソンも、俳句だと「木の葉よ!」となるわけだ。