戦前「禁演落語」中の知らない噺 ― 2010/12/09 07:09
11月25日の「等々力短信」第1017号に書いた岡本和明さんの『昭和の爆 笑王 三遊亭歌笑』の中に、時局にそぐわない禁演落語を、私の生れた1941(昭 和16)年10月30日、本法寺(浅草寿町2丁目)に「はなし塚」を建てて葬 った話が出て来る。(「禁演落語」と「はなし塚」については、私も1995(平成 7)年7月5日「等々力短信」第711号に書いたことがあった。) それを読ん でいて、「禁演落語」53種の中に、知らない噺、つまり最近演じられないもの が、いくつかあることに気づいた。 私が聴くのは主に毎月の「TBS落語研究 会」だから、放送収録を前提にしている。 放送しにくい噺なのかもしれない、 と思う。
具体的には、こんな演目だ。 《廓噺》では「粟餅」「磯の鮑(「わさび茶屋」)」 「おはらい(「大神宮の女郎買い」)」「廓大学」「三助の遊び」「三人片輪」「搗屋 無間」「とんちき」「白銅(「五銭の遊び」)」「ひねりや」「万歳の遊び」、《妾噺》 の「一つ穴」、《間男噺》の「氏子中」「つづら」「包丁」、《艶笑噺》の「にせ金」 「目薬」である。 どんな噺か、聴いてみたくなるではないか。
わが本棚に、ずばり『定本・艶笑落語』小島貞二・能見正比古編(立風書房・ 1971年)なる参考文献があった。 そこで見つかったのは「目ぐすり」(「目薬」)、 「氏子中」の二つだけだった。 さらに探索すると、『志ん生廓ばなし』(立風 書房・1970年)の中程にある「廓ばなしご案内」という編者の小島貞二さんの 筆らしい解説が、大収穫だった。 かなりの数の“あらすじ”が出ていたのだ。 「磯のあわび」(「磯の鮑(「わさび茶屋」)」)、「ひねりや」、「三助の遊び」、「搗 屋無間(つきやむげん)」、「万歳の遊び」、「大神宮」(「おはらい(「大神宮の女 郎買い」)」)、「あわもち」(「粟餅」)、「三人片輪」、「とんちき」、「白銅(「五銭の 遊び」)」、「廓大学」。 残るは、「一つ穴」「つづら」「包丁」「にせ金」の四つ。
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