春風亭一之輔の「まぬけの釣」2011/01/20 07:13

 13日は今年の初席、第511回の落語研究会だった。

「まぬけの釣」        春風亭 一之輔

「犬の目」 鈴々舎わか馬改メ 柳家 小せん

「御慶」           柳家 花緑

         仲入

「幇間腹」          柳家 喬太郎

「夢金」           古今亭 志ん輔

 一之輔、明けましておめでとうございますと挨拶して、寄席は「二之席」20 日までは「おめでとう」を言う、二ツ目でも前座30人ほど、お囃子20人ほど に、お年玉を配らなければならない、と、こぼす、一人三万円ずつ…。 きょ うの噺は、ある事情で今は「まぬけの釣」というが、聞けば事情はわかる。 「釣 りバカ日誌」にしたらと提案したが、却下された。

 与太郎が釣り好きの七兵衛の所へ来て、釣りする奴はバカだという。 恵比 寿さまはどんな恰好をしているかと聞かれた与太郎、「ビールの神様」とか、「一 般的にそういうのを詭弁といいます」。 七兵衛が寛永寺の池、殺生禁断の場所 で、鯉を釣って儲けていると聞き、同伴しないと大声でしゃべる、隣はおしゃ べりなお菊婆さん、世間中に広まると、脅す。 七兵衛はやむなく連れて行く ことにし、山同心、寺侍に捕まった場合、六尺棒で頭を撲られるが、涙が出た 所で言う言い訳も教える。 思いもよらないことを言うといわれて、「伊達直人 は私です」と与太郎。

 二手に別れて釣りをしたが、案の定、釣れてキャアキャア騒いだ与太郎が見 つかる。 頭を撲るなら、つむじから後ろにして、おできが治ったばかり。 ト ットットッ、「痛え、痛え」、六ツ、七ツ、殺生禁断の場所と知ってやりました、 一人(いちにん)の父でもいいし、母がいて、今わの際に鯉が食べたいと、喜 ぶ顔をみたら名乗って出る所存、許してくれるよね、おじさん、名前は与太郎 さん、風呂敷あったら貸して下さい、ボコボコ、今度は鉄兜で来よう、そうだ 七兵衛さんに知らせるのを忘れていた、「アー、キャアー」。

 まだ一人いた、と七兵衛も捕まる。 六尺棒で頭を撲られた途端、舌がもつ れた。 そこからの手まねの所作が可笑しい。 今晩は、親孝行がはやるな、 大目に見て遣わそう。 有難うございます。 器用な奴、口を利いた。

 この噺、今村信雄『落語事典』(青蛙房)も、矢野誠一『落語手帖』(講談社) も、「唖の釣」となっているが、まぬけなワープロソフトは「おし」では、すん なり変換しない。