花緑の「御慶」 ― 2011/01/22 07:19
花緑、「御慶」は祖父で師匠の小さんも、その師匠の四代目も、得意だったと、 始めた。 不思議な噺で、夢物語でもあり、現実的な話のようにも思う。 神 話のようで、我々に力を与えてくれる。 大きな富を得る人には法則があり、 お金の入らない人にも法則がある。 「はた・らく」は、まわりを楽にするこ とで、報酬を得る意味はない。 その反対は「はた・めいわく」。 徳を積む、 宇宙預金のように、それをダウンロードする。 江戸時代、「金持」というのは 悪口だった。 振舞う人は「長者様」といい、栄える。 何をすれば栄えるの か、生き方がわかって来る。 水も、お金も腐る。 と、花緑、「御慶」からは とても想像できない、牧師の説教のようなマクラをやった。
暮の二十八日、八五郎は鶴が梯子にとまっている、夢じゃないみたいにはっ きりした夢を見た。 一分、大変なカネだった。 かみさんが、おっ母さんの 形見の半纏だというのを、離縁してやるから脱げと、質屋に入れた一分で「鶴 の千八百四十五番」の富札を買いに、湯島の札場へ行く。 一足違いでその札 は売れていて、死んでやろう、川に身を投げたら風邪を引くな、と考えていた 八五郎に易者が「梯子は下から上に登るものだ、八四五より五四八がいい」と いう。 それで買った「鶴の千五百四十八番」が千両富に大当り。 来年二月 なら丸取りだが、今欲しいなら二割引という、八百両を受け取る。 二十五両 の切餅(一分金で25枚)で懐を膨らませて二足歩行、家がわからなくなる、 アレだ。 おかみさんは、水を飲もうとして、水が口に入らない。 晴れ着と、 頭のもの、珊瑚の三分玉が欲しいと言うのに、一尺玉でもいい。 大喜びで市 ヶ谷の甘酒屋(古着屋)へ行き、裃(かみしも)に大小まで買い込む。
眠るに眠れない夜が明けて、まず大家から年始回りに行く。 まっぴらごめ んねー、店賃、いくつ溜まってんだ? 九つ。 たった。 大家に、いろいろ 教わる。 弥蔵を組むな、突き袖をしろ、右手を御太刀の上に乗せてみな。 挨 拶の言葉も、短くて見てくれのいいのをと、「御慶」と、また春永になったらお 邪魔しますという「永日」を教わる。 初めて着た裃につっぱらかって、「御慶」 「御慶」「御慶とくらあ」、「永日でえー」を連発、怒鳴って歩く。 出かけてい た寅んべえと途中で会い、「御慶」「御慶」とやると、どこへ行ったかって? お 参りに行った帰りだ。
正月らしく、景気がよくて、お目出度い、この噺が大好きなのだが、花緑の は、今一つだった。 マクラも、その一因かもしれない。
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