喬太郎の「幇間腹」2011/01/23 07:07

喬太郎、落語以外の“お仕事”が、一時にくらべ少なくなったという。 多 国籍スナックの営業なんてのもやった。 ステージ1万円、一週間とか泊り込 む、一部屋に三人ずつ女が入っている、その一部屋に芸人部屋があり、バスタ オルやタオルはあるけれど、汗の臭いがする。 エロアニメの声優の仕事もあ った。 マイクが二本、声優の卵みたいな女の子と二人で、女子高生を30万 円で買うラジオ・ディレクターの役、(声を変えて)「この小指、ヒールで踏ん でくれないか」、(楽屋の方を向いて)「これ放送できますか? ぎりぎり」(と、 うなづく)。 屋形船の仕事、同じテーブルに座っていて、謎掛けや司会をする ことになる。 盛り上げようとしても、シーーンとしている。 また座るのが、 お互いにつらい。 みんな大人だから「面白かったよ、おなかかかえて笑いま したよ。一杯どう」なんて言う。 幇間さんは、さぞ大変だったろう、同じ座 敷、同じ目線で、芸をする。 通信簿にこう書かれるような人、「協調性に富む が、主体性に欠ける」、と「幇間腹」に入る。

 日本橋伊勢勘の若旦那、鍼を本で独習して、生命体に打ちたくなる。 猫の ノドがゴロゴロするのは喘息かなと、猫に試みて引っかかれ、猫は頭に鍼を刺 したまま、よろよろ、パタッ。 「アサスズメ」って店にいた一八が呼ばれて、 二階三番の座敷へ。 女将にあの若旦那は嫌い、先だってもへべのれけになっ てから、杯洗にいっぱいの酒をついで、金貨が三枚沈んでいるから、飲めと言 われた。 飲み干したら、足袋のコハゼ。 「なめんなー」と、言ってやろう と階段を昇り、「どうも若旦那、いつも有難うございます」。 凝っているもの がある、と若旦那、ゴルフや乗馬(大障害、飛び越えたと思ったら、馬と別々) でなく、鍼。 私が打つんだ、本読んで勉強している、ゴルフの本も役に立つ、 『打ちっぱなしの極意』。 女の子は呼ばない、一八だけ、一八が断わると、一 本に祝儀が百円。 それを早く言ってくんなきゃあ。 おなかに打つというか ら、また断わると、ほかに幇間はいくらもいる。

 喬太郎が仰向けになって、腹をゆらし、「アッ、イヤッ」っと、鍼を打たれる 恰好が可笑しかった。 「国立の天井ってのは、こうなってんのか、しみじみ 思うねえー」 鍼が折れた。 お迎え鍼を打つが、また折れる。 若旦那は、 帰るよ、じゃあね。  ちょいと、一八さん、おなかを血だらけして、どうしたの? 面白い宗教ね、 若旦那に鍼で…、あぶないね、お前さんもこの辺りではならしたタイコだもの、 ちょっとにはなったんだろ。 いえ、皮がやぶれて鳴りませんでした。

 澄ました顔で演じる喬太郎、ほんとうに可笑しい。 存在感が出て来た。