小此木潔朝日編集委員の提言解説2011/07/16 06:26

昨日書いた復興構想会議の提言についての朝日新聞26日朝刊一面の記事だ が、横についていた小此木潔編集委員の「日本の創造的再生へ」という解説が、 短文ながらよくまとまっていて、感心した。 総理大臣をこの人に取りかえて、 力強くリードしてもらったら、と思うようだった。 勝手に番号をつけ、以下 に引く。

(1)安心をもたらす新しい技術を用いて、「命とくらし」最優先の災害に強い 社会づくりを被災地から始めよう。 それを突破口に国のかたちをも変革し、 世界に誇れる先進モデルとしての日本をつくれるか。 問われているのは、こ のことだ。

(2)復興構想会議の提言は、そうした変革への第一歩を踏み出す土台として活 用したい。 政府は「世界に開かれた復興」や「特区手法の活用」、「自然エネ ルギー利用促進」を大胆に進めるべきである。

(3)減税や規制緩和をする「特区」では、被災地の漁協や企業への支援だけで なく、内外の投資を呼び込んで雇用創出につなげる。 世界の人材を東北大学 などに集め「知の拠点」とし、豊かな資源と技術力を生かした産業を、アジア の成長と結びつける。

(4)脱原発への道を開く上で大切な自然エネルギーの開発でも、世界の技術と 資金を活用するため、被災地全体を「エネルギー特区」とする意気込みを政府 に求めたい。

(5)太陽光や風力発電を蓄電技術や新鋭ガス火力発電、燃料電池と組み合わせ、 スマートグリッド*で結ぶ。 環境にやさしい産業と、震災に強い分散型電源の 先進地域は、世界市場に製品とシステムを発信する新生日本の顔となる。

(6)歴史的悲劇を日本の創造的再生に転じる。 それこそが犠牲者を追悼し、 世界の人々から寄せられた友情や期待に応える道だ。

(7)合言葉は「東北を世界のフロンティアに」。 東北に「復興庁」を置くと ともに首都機能の一部を移し、我々の決意を世界に知ってもらおう。

 (馬場註) (5)の*「スマートグリッド」が、わからなかったので調べると、 「(smart grid) デジタル機器による通信能力や演算能力を活用して需給関係 を自律的に調整する機能を持たせることにより、省エネとコスト削減及び信頼 性と透明性の向上を目指した新しい電力網」だそうだ。