鯉昇の「蒟蒻問答」2011/07/19 06:27

黒づくめの正装。 座っても、しばらく客席を見回していて、話し始めない。  節電の話、家庭は数年前から冷え切っている。 昔からエコな暮し、エアコン はついていたが、リモコンがない。 扇風機は2台、もらったやつがある。 1 台は20年ほど前、小さな会社がいい塩梅に、倒産して、もらった。 ただ、 首が回らない。 2台目は鉄製、古いので、言う通りには動かない。 空を飛 ぶ、部屋をピョンピョンと飛び回る、6畳一回り一時間、時計がなくてもいい。  強さの切り替えは、甲乙丙、そよ風が外から入ってきただけで、逆回転をした。  試しに止めてみたら、3度下がった。

 師匠の柳昇、あれで海水浴や富士登山をよくやった。 富士登山は、三回つ きあった。 八合目から身体が急に重くなる。 三人ぐらい(背中に)腰かけて いるよう、サンケツ状態。 下山がまた大変で、膝がガクガクになる。 翌日、 寄席に出ると、お客さんは笑わないが、膝が笑っている。

 昔、この業界でも野球部があった。 人数が足りないと、外野に呼ばれる。  立つこと自体は、子供の頃から慣れている。 グローブがないので、八つ手の 葉を持って「オーライ」。 ピッチャーをやりたい、誰も打てない、届かないか ら。 今は、動かないで出来るガッショウ部、前座さんに「お茶を、もう一杯」 と合掌、数人でお客さんを「凍らす部」。

 「蒟蒻問答」では、権助が問答の説明に「いかに、ごとし」というやつ「一 枚でも煎餅とはこれいかに、一つでも饅頭というがごとし」、問答の僧に大和尚 の法名を聞かれて「ダライラマ」、お湯をかけて叩いて死んじゃったっていい、 裏に埋めるところはいくらでもある、というのが可笑しかった。  私が書けばこの程度なのだが、鯉昇にかかると、腹の底から可笑しいのは不 思議だ。