3日スイスで感謝のコンサート―大震災の外国支援に2011/08/01 05:50

コーのコンサートホール

 東日本大震災に対する世界からの温かい支援と声援に、日本政府は何らかの 感謝の行動をしたのだろうか。 メディアはどうか。 と、彼は言うのだ。 7 月27日、仲間内の情報交流会の講師をお願いするためにお会いした、同期の 武市純雄さんである。 三菱商事役員を経て、世界銀行に入り、世銀グループ の国際金融公社局長を務めた。 現在も世界中を飛び回って活躍しているが、 その一つにスイスのコーCauxで毎年開かれる経済人コー円卓会議(Caux Round Table)(ダボス会議と並ぶ国際会議)の日本委員会の特別顧問をしている。

 6月、武市さんは被災地に入り、田老町と大槌町、宮古市を訪ね、500キロ にわたって海岸線を見て回ったという。 本当に悲惨な状況が続き、未だにボ ランティアも自衛隊も国からの7点セットも何も届いていない現場に、海外か らの支援が届いていたという。 そのことで決心して、スイスのコーでの経済 人コー円卓会議のTIGB(Trust and Intiguity of Global Business)プログラ ムで、世界の皆さんにお礼のコンサートを手造りで開催することを計画したの だそうだ。 いい話ではないか。

 コーは1902年に建てられたレマン湖を見下ろす絶景のお城、最高級のホテ ルで、その昔は、世界の富豪ロックフェラー家やアガカーン家が家族と召使を 連れて、ひと夏を過ごした所だそうだ。 8月3日の夜9時から、このホテル のスイスでも一流のコンサートホールで、ヨーロッパで活躍している日本人演 奏家のコンサートが開かれる。 趣旨に賛同したバイオリンの原田陽、迫間野 百合、ビオラの飯 顕、チェロの高橋麻理子の皆さんが、東日本大震災への世界 からの温かい支援と声援にたいするお礼と、被災を受けた犠牲者と、被災者に 祈りをささげることを願って、演奏する。 最後は、震災直後のコンサート・ ジャパン2011でプラシド・ドミンゴも歌った唱歌“ふるさと”で締めくくる 予定だという。

和解と平和の場、コー2011/08/02 05:48

スイスでのコンサートの会場になるコー Cauxはレマン湖を見下ろす絶景の お城だそうだが、ここには重要な歴史の物語があったことを、武市純雄さんに 教わった。 昨日も書いたように、1902年に建てられた最高級のホテルで、戦 前は世界の富豪ロックフェラー家やアガカーン家がひと夏を過ごし、第二次大 戦中は、ナチスに追われたユダヤ人の避難所として使われたという。 戦後ス イスの実業家が4人で資金を出し、傷んだホテルを再建し、コーを生き返らせ るとともに、終戦直後の欧州の平和を目指す場所にした。 有史以来、鉄鉱と 炭鉱のアルザス=ロレーヌ地方の帰属をめぐって、殺し合って来たドイツとフ ランスの和解をめざし、当時のドイツのアデナウアー首相とフランスのシュー マン外相を招き、そのReconciliation “和解”の場を提供した。 両国がこ れからの欧州の歴史の中で、決して戦争に突入しないことを約束させた。 そ の後、欧州石炭鉄鋼共同体が出来たことが、今日のEUを生むきっかけとなっ たことは知られているが、その始まりがコーだったことは、あまり知られてい ない。 その後も欧州各国の元首がコーを訪ねて平和と、歴史観についての講 演をしている。

日本との関係も深く、古くは岸信介元首相、福田赳夫元首相、三木武夫元首 相、加藤シヅエ女史を始め、多くの日本の方々が訪問し、戦後の日本の平和へ の政治姿勢をコーの地で表明した。 サンフランシスコ平和条約を締結し、国 連に復帰出来たのも、このコーの提供したアジア各国の元首と日本の元首との Reconciliation“和解”がもたらした結果だった、と武市純雄さんは指摘した。

私は、昔読んだ木村毅 著『クーデンホーフ光子伝』(鹿島出版会)という本を 思い出した。 1947年にヨーロッパ議員連盟を結成、今日のヨーロッパ連合E Uに発展する統合化への基礎を築いた汎ヨーロッパ運動家、リヒャルト・クー デンホーフ=カレルギーの母・光子の伝記である。 1874(明治7)年生れ、東 京牛込の骨董商の三女で、小学校初等科卒業後、当時の代表的社交場、芝の紅 葉館に女中奉公し、歌舞音曲、生け花などを修業、優美さを身につけた。  1892(明治25)年オーストリア・ハンガリー帝国駐日代理公使として着任したハ インリッヒ・クーデンホーフ=カレルギー伯爵と出会い、カトリックに改宗し て結婚、1896(明治29)年ボヘミアの領地ロンスベルクに赴く。 信仰深い良妻 賢母を理想とする夫の方針で、英・独・仏語、一般教養を学び、7人の子供を 教育した。 リヒャルトは、次男である。

読みたくなるような本の紹介2011/08/03 05:22

俳誌『夏潮』8月号の投稿欄「女波・男波」に、こんなことを書いてくれた 人がいた。 私が4月号の編集後記に書いたクレア・キップス著・梨木香歩訳 『ある小さなスズメの記録』(文藝春秋)の話を読んで、さっそく購入、そのス ズメの虜になってしまった、と。 行動、経験の範囲が狭いので、読んだ本の 書評というか、紹介を度々するのだけれど、こういう反響は、嬉しいものだ。

『暮しの手帖』53 (8-9月) 号の読者投稿欄、「私の読んだ本」で紹介されて いる三冊の本の、紹介と感想がみんなよくて、どれも読んでみたくなる。

青山 潤 著『うなドン 南の楽園にょろり旅』(講談社)。 ウナギが、広い 海のどこで産卵するか、長く謎だったが、ついにその卵を発見したというニュ ースは、聞いたことがあった。 今年2月、その「史上初、卵発見」の快挙を 成し遂げた研究チームのリーダー塚本勝巳教授は、評者の主婦・木曽田千春さ ん(63歳)の高校の同級生、英語クラブの仲間で、部長だったという。 「目ざ すウナギを生きたまま手に入れたい!」という熱い思いで、ウナギ研究者の青 山潤、渡邊俊の両氏を率い、ヨレヨレになりながら立ち向かうリーダーだ。 木 曽田さんは、塚本さんが高校時代に多くのクラブ員をまとめた経験が、その芽 だったのだと、確信している。

長くなるので、あと二冊は、また明日。

『清冽』と『子規の宇宙』2011/08/04 05:23

 『暮しの手帖』53 (8-9月) 号「私の読んだ本」の、続き二冊。

後藤正治 著『清冽 詩人茨木のり子の肖像』(中央公論新社)。 茨木のり子、 ルビで「いばらぎ」と読むと知る。 書店勤務・菊地真由美さん(46歳)は、こ の初めての評伝で、読む者を叱咤し、励まし、癒す、あの茨木のり子の詩が、 品のある姿、凛とした佇まい、潔(いさぎよ)い姿勢、丁寧な日常、豊かな思想 …想像以上に素敵な女性から生まれたことを知る。 また、夫との日々を追想 する詩は、密かにクラフトボックスにまとめ、照れくさいから、死後出版され ることを望んだという一面もあった。 「自分の感受性くらい/自分で守れ/ ばかものよ」は、世相批判としての他者でなく、自身に向けて書いたものだっ た。 自分は駄目な奴だから、自分を刺激し鼓舞する意味で、詩を書く。 人 を励ますなんておこがましいという、謙虚で、素直な人であった。 菊地さん は、背筋を伸ばし、丁寧に日常を過ごさなくてはと、思う。 同時に、言葉を 素直に、丁寧にならべたくなる、と。

長谷川櫂 著『子規の宇宙』(角川選書)。 主婦・下井由紀子さん(59歳)は、 NHKのドラマ『坂の上の雲』の子規の生き様に感動して、もっと子規につい て知りたいと、この本を手に取った。 そして書き出しに引き込まれる「今か ら百年前、正岡子規という人がいた。もっと正確にいうなら。百年前にその人 は亡くなった。わずか三十五歳の若さで。家族は母親とたった一人の妹。妻も 子どももなかったが、大勢の活気ある友人たちがいた」 下井さんは、妹律にも興味を持ち、その人生は「家の犠牲になった」のでは なく、律自身が選び取った人生であったに違いない、と考える。 子規没後、 学校に通い、生計を立てる技術を身につけていくのを、近代女性の走りだろう と、思う。

私は、ドラマ『坂の上の雲』の第2回「青雲」を思い出した。 秋山真之(本 木雅弘)が『学問のすゝめ』を読んで「自主独立、一身独立」と言ったのに対し、 律(菅野美穂)が「私も一身独立しようと思うたんじゃ」と言うところ、を。

コマーシャルの「気になる」女優2011/08/05 05:37

居眠りをしながら、テレビを見ていると、コマーシャルが混ざってしまう。 貫地谷しほり、『龍馬伝』で“江戸の鬼小町”千葉佐那を好演した女優さんだ。  「ワンカップ大関」のCMで、ズボッとした青いワンピースを着て、「好きだァ ー!!」と、叫んでいる。 この人、第一三共ヘルスケアの解熱鎮痛剤「ロキ ソニンS」のCMにも出ている。

「ロキソニンSが好きだァーっていう人が、私は好きです。 言っちゃいま した、思い切って。 好きだァー!!」

「ロキソニンSを薬剤師さんに相談して、グイッと飲む人って、かっこいい ですよね。 ロキソニンSをちびちび飲む人は、…………、かわいいですね。」

 「ほうれい線」の宮沢りえも、サントリーの老舗福寿園のお茶「伊右衛門」 で、伊右衛門・本木雅弘との子供が大きくなって来た今日この頃は、ちょうど 年齢が合って、きれいだと思う。

 コマーシャルの「気になる」女優で、名前のわからない人がいる。 調べる と“Eco navi”は吉瀬美智子、「カルベール」 (エーザイ) の胃粘膜は相築あき こ、「十六茶」で照れつつ元気に踊っているのは新垣結衣、資生堂マキアージュ の「ぷるるるん うるるん CHU-NEW-LIP」は武井咲(えみ・17)。

 「日本興亜損保」のCMで、「お父さん、私、保険に入ったよ」と故郷の父親 に電話している部屋が、バカに高級で気になっていたが、最近は、運転免許の 教習所に通ったり、カヌーを習ったり、料理教室で鍋のフタを後ろのおばさん の顔にぶつけそうになったり、エコバッグがエプロンに見えたりするのが、榮 倉奈々。 それにしても、「興亜」という社名、興亜火災と日本火災の合併で「日 本」がついたことで、余計「大東亜共栄圏」ぽくなった。