ますます重要性を増す文化発信2012/02/14 04:07

 中川正輝さんは、一国の存在感と、その国の評判とは、必ずしも一致しない という。 日本は東日本震災での人々の冷静な対応などで、評判はいいが、存 在感は弱い。 中国は、圧倒的な存在感はあるが、評判はともなわない。 一 国の存在感を量る尺度は、政治、経済、文化、国防の四つにある。 正方形の 中心をゼロとし四方に、それぞれ10点満点で評価して描くと、日本は、政治5、 経済8、文化6、国防4、その図形はイビツな形になる。 それがフランスだと、 政治8、経済8、文化9、国防8、と四角に近いバランスの取れた形になる。

 中川さんは、現在のユーロ危機の原因を、文化の違いに見る。 「大同小異」 は、細かい点は異なるが、全体的にほとんど違いがない意味になっているが、 本来は「小異を残して、大同に付く」だった。 赤信号で車が来ないと、日本 では待っているが、ヨーロッパは待つのがもどかしくて渡る。 EUも、大き なことが決まれば、細かいことはあとで決めようよ、と始まった(日本は、まず 細部を詰めるから、これが出来ないが…)。 マートリヒト条約で決めた財政規 律を、ギリシャ、ポルトガル、イタリアなどが守らなかった。

 そして近年、国が文化発信を盛んにすることは、グローバルだが平坦化しか ねない世相に、多様性を再認識させる方途として、一層注目を浴びていると言 う。 ジョセフ・ナイ ハーバード大学教授の唱える「ソフト・パワー」、巧み な情報発信が大事になってきた。 日本が伝統文化としてどんなに素晴らしい ものを持っていても、その使い方が下手では駄目で、「ソフト・パワー」と「ス マート・パワー」が並行しなければならない。

 「クール・ジャパン」の呼び名の下、パリで毎年夏休み前に催されているJapan Expoには16万人(2009年)もの人々が、漫画のコスプレなどもして、訪れるほ ど、日本のアニメやビデオゲーム等、ポツプカルチャー、サブカルチャーは若 者たちの人気を得ている。 それはそれで結構だが、それだけでいいのだろう か、と中川正輝さんは言う。 日本の伝統的文化を見直す、文化ルネッサンス の時期に来ているのではないか。 時流に乗るだけでなく、日本の伝統的文化 と現代のバランスをうまくとり、魅力ある文化企画の実施を、ゆるみなく継続 していくことが、日本が海外に持つ最大の総合文化施設である、このパリ日本 文化会館の使命であるという。 財政赤字縮小、事業仕分けの影響で、予算配 分には厳しいものが予想されるが、ここで火を消してはならず、経済大国世界 二位にふさわしい文化発信を目指して努力する必要があるという。

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