「日暮れて、道遠し 日本の現状」という話2012/09/14 02:16

 先日、仲間内の情報交流会で、ある証券会社の会長さんの講演を聴いた。 演 題は「日暮れて、道遠し 日本の現状」、1985(昭和60)年度以降の主な経済 指標のとてもよくまとまった資料を使って、この27年間の日本の姿を概観し てくれ、とても勉強になった。

 総論としては、こんな見方だった。 内向きの平和志向にどっぷり浸かって、 過去20年間の停滞があり、先の見通しは出口も見えない。 いずれどこかで 必ず国債が売られて暴落する時期が来る、金利上昇、インフレとなり、それが 円安に行きついて、ようやく日本経済は急激に動き出し、上昇に向かうのでは ないか。 強いリーダーシップを持ったリーダー(かつての米国「レーガノミ ックス」レーガン大統領、英国「鉄の女」サッチャー首相のような)の出現が 望まれる。 われわれの世代は恵まれている、高度成長のよい時期に働き、仕 事を終え、年金をもらっている、私生活を大切に…。 団塊ジュニア世代が、 一番悲惨で苦労するだろう、孫の世代になってようやく回復し、いい時を迎え るのではないか。

 「内閣」…総理大臣は1989(平成元)年から宇野、海部、宮沢、細川、羽田、 村山、橋本、小渕、森、小泉、安倍、福田、麻生、鳩山、菅、野田と16人、 こうくるくる代わっては、世界は日本を相手にしない。 社長がこう代わった ら、会社なら必ず潰れる。

 「GDP」…1996(平成8)年から名目で下がり続けている。名目成長率は1990 (平成2)年の8.6%がピーク、実質成長率は1988(昭和63)年の6.4%がピー ク。「1人あたり名目GDP、OECD内順位」は、1993(平成5)年の2位から、 2007(平成19)年には19位に下がっている。

 「GDPデフレーター」(名目-実質)…20年近くデフレが続いている。これ では日本経済の復興は有り得ない。衰亡の過程に入っている。

 「輸出依存度」…輸出主導の構造、依存度が高まっており、円高で苦しむ。

 「公債残高」…金融が緩んでいるので保たれているが、いずれ爆発するので はないか。

 「国債金利」…2012(平成24)年0.9、金融が緩んでも、設備投資に結びつ かない。

「為替レート」…1ドルは1985(昭和60)年の221.4円から、現在の 79.8 円まで 1/3に、3倍の円高になっている。輸出が苦しいのは当たり前。海外旅 行はここ数年の内に。

「株価」…日経平均、1989(平成元)年の34,935円をピークに、現在9,102 円、1/4に下落。東証時価総額も、605兆円が250兆円に。NY市場は、その間 4倍強になっており、1985(昭和60)年のプラザ合意のドル高是正(日本など 黒字国は内需拡大)に乗って以降の日本の為政者が為替に無策だったのが原因 (中国は対照的に「元」のレートについて頑張った)。

 「サラリーマンの小遣い」…1990(平成2)年の76,000円が、昨年は約半 分の39,600円になっている。安い居酒屋でたまに一杯やるしかない。

この間、人口や社会の指標でも「生涯未婚率」「生活保護世帯数」「児童虐待 の相談対応件数」などを見ると、社会構造が変化し、社会面でもいろいろと悪 くなっていることがわかる。