三遊亭兼好の「蛇含草」 ― 2013/05/02 06:30
兼好は、グリーン系で、濃い着物に薄い羽織。 いきなり、お気をつけ下さ い、昨日まで元気だったのに、ね、ということがありますから、と。 騒がし い早口の語りを、初め嫌だなと思ったが、乗って来ると気にならなくなった。
先日の新聞に、朝食をときどき食べる人が太る、という記事があった。 身 体が飢えていて、たまに食べると、吸収率が高いらしい。 落語も、毎日聴く もんじゃない、たまに聴くと新鮮味があって、今度どこで笑えるのかがわから ない。 月一度ぐらい、落語研究会はちょうどよい。
先祖代々、太っている人もいれば、瘠せている人もある。 私も、沢山食べ るのだけれど、まるで身にならない質だ。 一番太っていた時で64キロ、一 番瘠せていた時で2,700グラムだった。 女性のダイエットで、パートナーに 後ろからお腹(なか)を持ち上げてもらうというのがある。 20回ぐらい、持 ち上げてもらう。 大好きな人に、負担をかけているという気持から、瘠せる のだそうだ。 4か月で、6キロ痩せた。 旦那さんが…。
甚平は重宝だ、手拭でつくり、湯へ何も持たず鼻歌まじりで行き、それで体 を洗って、絞ったのを引っかけて帰れば、乾く。 急に暑くなったので、ご隠 居さんの所に涼みに来た。 ここは南がもろに開いていて、風が入って来る。 庭を見ると、目で涼しくなる。 家の中にいると、日陰になる。 アッシの所 は、日陰にならない、屋根に穴が開いているから。 雨が降ると、傘を差して おまんまを食う、表に雨宿りに行く。 風鈴は音がいい、チリリンリン。 ア ッシの所は、コッツン、コッツン、紐が切れて落ちたので、ヒビが入った。 風 鈴の脇の、ゴムみたいなのは何ですか? 蛇含草だ、舐めると人間が解けるウ ワバミの胃薬だ。 悪い虫が入って来ないおまじないになる。 アッシの所は、 悪い虫が出て来る、痒くて痒くて、半分いいですか、頂きます。
田舎から餅が来た、切り餅で五、六十あるが、食べるかい。 ペロッと、い っちゃう。 一つ残らず、食べることができるかい。 もちろん。 何か、つ けるか。 餅が可哀想、そのまんま食べると、コメの甘味が、口の中で広がる。 餅は大好きで、先祖が望月。 (焼いた餅を、手で持ち替えつつ、伸ばしなが らホッ、ホッと食う)舌でなく、手が猫で。 せわしない食べ方だな、噛まな いのか。 もらい物は、返してくれと言われるといけないのでね…、クチャ、 クチャ、ゆっくり頂きます。 しゃべるか、食べるか、どっちかにしろ。 伸 ばして、食いつく、鯉の滝登りの餅。 伸ばして、くわえて、揺すって、食う、 親猿子猿、ブランコの餅。 太神楽の餅で、天井に張り付いた。
あといくつ。 五つ残っている。 ハー、ハー、アヘ、アヘ、アヘ。 まだ 四つ。 もう食べられない。 立てないので、手伝って下さい。 体中、餅だ な。 鏡貸して下さい、下駄を履くのに、下向くと餅が出る。
家へ帰って、寝てみたが、どうにも苦しい。 腹さぐると、蛇含草があった ので、飲む。 ご隠居が心配になって、訪ねて来る。 ガラガラっと、戸を開 けると、布団の上に、お餅があぐらをかいて、甚平を着ていた。
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