季題研究「茄子」の話2013/07/14 06:36

 「炎天」と「茄子」の句会の季題研究は、私を救ってくれた淳子さんの担当 で「茄子」の話だった。 ご専門の保育関係の経験からインターネットの情報 は当てにならないものもあると、『食べて治す健康になる料理大百科』という本 も参照しての説明があった。

 茄子(なす)は、産地によって形や大きさ、味わいが異なる。 代表的なの は「長なす」、関西、中国、九州、東北で産する。 このほか、丸くて煮くずれ しにくい「加茂茄子」、ヘタが緑色で大型、とくに油と相性がよい「米(べい) なす」、水分を多く含む「水なす」、漬物に利用される「小丸なす」などがある。  丸なすは、日本列島南北の「長なす」産地に挟まれた間の地域に、秋田の「仙 北丸」、山形の「民田」、新潟の「魚沼巾着」、埼玉の「真黒」、京都の「賀茂」 や「もぎ」、奈良の「千成」などがある。 (句会には出さなかったが、<好き なのは民田小茄子辛子漬>という句を作った。)

 茄子の皮の色は、「アントシアニン」というポリフェノールで、抗酸化作用や 眼によいとされている。 茄子の成分は、ほとんど(93~94%)が水分なので 特筆すべき栄養素はないが、油との相性がとてもいいため、エネルギーを効率 よくとることができる。 栄養素としては、カルシウム、鉄、カリウム、ビタ ミンB1、C、食物繊維などをバランス良く含んでいる。 揚げたり炒めたりし ても、果肉が吸い込むため、油っぽくならず、逆に茄子のアクが油に溶け出て まろやかな味わいになる。

 「アントシアニン」は変色しやすいが、アルミニウムや鉄分と結合すると、 色が安定する性質がある。 ぬか床に、古釘やみょうばん(硫酸アルミニウム と硫酸塩が結合したもの)などを入れるのは、このためだという。

 最近、スーパーなどで、細長くて少し曲がった「オオナガナス」、緑色の米な す「アオナス」、薄紫の「カプリス(イタリアナス)」など、サラダ用という茄 子を見かけるようになったと、淳子さんは実物を買ってきて、見せてくれた。