小学4年生の壁新聞『仏女新聞』2013/11/02 06:29

 29日、学生時代にクラブで「葉っぱのマークでおなじみの『週刊 文地タイ ムス』」なる壁新聞を発行していたことを書いた。 27日の朝日新聞朝刊と、 仏女新聞ホームページによると、奈良県生駒市の小学4年生、飯島可琳(かり ん)さん(10)が、『仏女新聞(ぶつじょしんぶん)』という学級内壁新聞を2012 年6月から月刊で発行しているという。 ホームページからメールして許可を 得れば、オンライン版を読めるらしい。 「仏女」とは、歴史好きの女子「歴 女」から来ているのだろう。

 奈良に住む仏像好きの可琳さんが、郷土・奈良にある数多の仏像の魅力を同 級生に伝えるために始めたもので、仏像の身体や表情から感じ取ったことを、 一つの見方・感じ方として記している、とホームページの可琳さんと保護者・ 飯島敏文さん連名の挨拶にある。 内容が濃く、奈良の興福寺特集が寺の国宝 館で2千部以上無料配布されたり、東京国立博物館でも2013年9月号が「感 性が豊か」で「内容も正確」であることから「一つの新聞として多くの人に手 に取ってほしい」という趣旨で配布されたという。

 朝日新聞が引用している『仏女新聞』を読んで、驚いた。 題字からして、 隷書風インチキ字を私が書いた「等々力短信」とは違い、スマートな字体を使 っている。 記事はもちろんだが、これも可琳さんが書く「仏声人語」という コラムがある。 言わずと知れた「天声人語」のもじりだ。 それを読んで、 本当に10歳が書いたのかと、空恐ろしくなるほど感心して、今さらながら72 歳のわが身を恥じたのであった。 その全文を引いておく。

 「私は実際に仏の声を聞いたことはない。仏像が声を出すことはないが、私 たちは仏像の表情から何かを感じとっている。/たとえ仏像が口を閉ざしてい ても、仏と人は心で会話することができるはずだ。遠い存在だと思えば、仏は 決して私たちに近づいてはくれないだろう。仏とは自分の心の中に存在するも のなのかもしれない。仏と会話するということは、自分の心と会話するという ことなのではないか。自分の心の中にいる仏と会話することができれば、仏が 遠い存在だと思っている人でも、仏が近くにいると感じるときがくるだろう。」