花緑の山田洋次作「真二つ」、そのマクラ2013/11/05 06:24

 「真二つ」は、五代目小さんが当落語研究会の名プロデューサー白井良幹さ んを介して山田洋次監督に書いてもらった新作落語の第一作だ。 昭和42 (1967)年、花緑が生れる4年前のことである。 その後、「頓馬の使者」「目 玉」「まむし」「運が良けりゃ」などがつくられ、「真二つ(御利益)」と合わせ て、山田洋次著『真二つ 落語作品集』(大和書房・昭和51(1976)年)とし て刊行された。 この本、私の本棚にあり、口絵写真の山田監督はとても若い。  「真二つ」は、ロアルド・ダールの短篇、欲張りな神父が農家で古い箪笥を買 う話にヒントを得たそうだ。

 プログラムにある長井好弘さんの「当世噺家気質」によると、花緑は山田監 督に「真二つ」をやる許しを得たが、直したいところがあると条件がつき、去 年のクリスマスの夜、神楽坂の料亭で、差しで二か所の手直し作業が行われた という。 「夫婦の会話の中味」とか、「場面の順序」とか、細かいところだっ たが、直した部分は、ぐっと落語らしくなった。 「ああ、監督は本当に落語 が好きなんだ、40何年も『真二つ』のことを忘れずにいてくれたんだ、と感激 しました」と、花緑が述懐したとある。

 本には「枕についての二案(あらすじ風に)」があり、花緑はその一つを、ほ ぼそのまま使った。 これは新作落語だが、初めはみな新作で、すでに古典化 が始まっていると言える。 五十年、百年後、古典になっているかどうか、私 (花緑)も皆さんも、確認できない。 昔、クールガイという言葉があった、 冷静で、頭がいい。 今のイケメンか。 ポーカーフェイス、落語家にはいな いタイプだ。 何人か弟子がいるが、中にポーカーフェイスの弟子がいる。 何 か聞いても、鼻息で返事をする。 何がしたいのか、察してやらないといけな い。

あちらの小咄に、こんなのがある。 飼っている犬が、たいへん利口で電話 もとれば新聞も読む。 家族にまじってポーカーをやる。 そうなんだけど、 駄目だね、やっぱり犬だ。 いいカードが来ると、尻尾を振るんだ。

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