圓太郎の「三年目」前半 ― 2013/11/09 06:34
圓太郎、未だにテープで稽古するという。 チュルチュルと巻き戻し、途中 から聴くのがいい。 小さん、志ん朝、談志のテープを聴いて、自分のを入れ る。 寸分たがわず、何度聴いても、そのままの出来だ。 プロの耳で聴いて、 そうなのだ。 しかし、素人の耳は怪しい、その出来が伝わらない場合がある。 今日も気持よく、ニコニコと、帰ってもらいたい。
離婚率が高い、36%だそうだ。 小朝一門の一員としては、どう言えばいい のか。 最近、相田みつをの書をあまり見かけなくなって、やれやれと思う。 昔はどこの家にも武者小路実篤の「仲良きことは美しきかな」があった。 町 内の集会所や夫婦喧嘩が絶えない家の湯呑茶碗も「仲良きことは美しきかな」 だったが、どこからも無くなった。 変わった夫婦がいて、どこへ行くのも一 緒、お互いを褒めちぎる。 寄席のご定連で、楽屋でコレ(小指を立てる)だ よと噂していたら、奥さんと判明した。 何のために生きているんだろうか。 噺をするのに邪魔でしようがない。 こういうのを世間では「馬鹿夫婦」と呼 ぶ。
もう寿命が残っていないという六人目の医者のひそひそ話を聞いてしまった 女房のお花から、亭主は気がかりのタネを聞き出そうとする。 お前のおっぱ いの先にホクロがある、あれをコリコリやるのが好きだ。 あなたのおへその 下に二つホクロがある、かわいいの。 そんなことを、言い合っている場合じ ゃあない。 嫁いで二年、あなたは私に女の幸せを教えて下さった。 私が死 んだら、あなたは新しい若いお嫁さんをもらって下さい、そして跡を残して下 さい。 でも、あなたはお優しいから、毎晩毎晩、新しいお嫁さんをお可愛い がりになるのでございましょう。 それが気がかりで、死に切れません。 後 添なんて貰いません。 いえ、跡取りをどうすると、親戚のおじさん達に言わ れて、きっとお貰いになる。 それほど思っているなら約束をしよう、もし私 が嫁を取ったら、婚礼の晩に化けて出ろ、お前さんに会えれば嬉しい、嫁は里 に逃げ帰るだろう、出てくださいよ。 嬉しい、出ます、八ツの鐘を合図に。 死ぬまで「馬鹿夫婦」。 安心したのか、お花はその晩にご臨終となる。
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