「冬耕」と「木の葉髪」の句会 ― 2013/11/20 06:40
14日は『夏潮』渋谷句会だった。 兼題は「冬耕」と「木の葉髪」。 「木 の葉髪」とは、歳時記に「ようやく冬めくころ、木々の葉が落ちるように、人 間の毛髪が常よりは多く脱けるのをいう」とある。 一入、身に入む季題であ る。 私は、次の七句を出した。
段畑の天地の境冬耕す
一輌の電車の行きて冬耕す
富士山を見ることもなく冬耕す
あと何冊本を読めるか木の葉髪
木の葉髪眼鏡はずして細字読む
木の葉髪庭は雑草はびこりぬ
木の葉髪少年の頃読みし本
私が選句したのは、次の七句。
火の消えし銜へ煙草や冬耕す 梓渕
冬耕や其処まで都市のせまり來る 松子
己が影に鍬ふりおろし冬耕す さえ
初恋の従姉妹たりしが木の葉髪 英
抱き上げてネコよお前も木の葉髪 ひろし
童顔のままに老いけり木の葉髪 良
木の葉髪ままならぬことままにして 松子
私の結果は、<段畑の天地の境冬耕す>を英主宰、梓渕さん、良さん、淳子 さん、<一輌の電車の行きて冬耕す>と<富士山を見ることもなく冬耕す>を 裕子さん、<あと何冊本を読めるか木の葉髪>をひろしさん、<木の葉髪眼鏡 はずして細字読む>を松子さんが採ってくれた。 主宰選1句、互選7票の計 8票とまずまずの成績だった。 <段畑の天地の境冬耕す>の主宰選評…つく り方がよい、耕して天に至るという段畑は、どの段畑も天との境である。 ス ケールの大きい、斬新な句。
昨日までの世界遺産富士山巡りバスツアーのシリーズをお読みの方は、もう お分かりだろう。 「天地の境」という措辞は富士山五合目の呼び名を頂いた ものだし、<富士山を見ることもなく冬耕す>もバスツアーのおかげだ。 8 票中の5票が、富士山の恵みだった。 富士山は偉大である。
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