「福沢諭吉心訓」七則は偽作である〔昔、書いた福沢7〕2013/11/22 06:39

 手抜きのための〔昔、書いた福沢〕シリーズを7月18日の〔6〕までで、し ばらくやっていないことに気が付いた。 それで、続きをやってみる。

  等々力短信 第160号 1979(昭和54)年10月5日

「福沢諭吉心訓」七則は偽作

 本屋で『福沢革命』という題を見てとびついた。 高野善一さんという方の 福沢研究をまとめた遺稿集であった。 あとがきを奥さんが書いている。 そ の初めに高野さんが福沢一辺倒だったエピソードに福沢の心訓を掛けていつも ながめていた話があって、ドキッとした。

 世に広く行なわれている「一、世の中で一番楽しく立派な事は一生涯を貫く 仕事をもつ事です。」以下七条の「福沢諭吉心訓」は偽作である。 福沢の書い たものではない。

 私が偽作だといっても信用してもらえないといけないので、福沢研究の第一 人者、富田正文氏が『福澤諭吉全集』第二十巻附録(昭和46年5月)に書か れたものを引く。  「惜しいことにその作者は自分の名の代りに福沢諭吉の名を借りて来たばか りに自分の創作した訓えの一つにそむく結果となってしまった。 その訓えと は『一、世の中で一番悲しい事はうそをつくことである』」                        (短信第160号終り)

○これまでの〔昔、書いた福沢〕シリーズ

桃太郎悪者論〔昔、書いた福沢1〕<小人閑居日記 2011. 10. 10.>

「巧言令色またこれ礼」〔昔、書いた福沢2〕<小人閑居日記 2011. 12. 21.>

福沢諭吉と商売〔昔、書いた福沢3〕<小人閑居日記 2013. 7.15.>

授業料と「三助実業家論」〔昔、書いた福沢4〕

人も国も、独立の為には金〔昔、書いた福沢5〕<小人閑居日記 2013. 7.17.>

保険創業と、商売の本質〔昔、書いた福沢6〕<小人閑居日記 2013. 7.18.>