小満んの「鰻の幇間」前半2014/08/02 06:32

 おなじみのところで、<幇間(たいこもち)、揚げての末の幇間>、なぜ幇間 というのか、よくわからない。 酒間(?)を幇(たす)けるか。 正岡子規 が松山から上京して一高を受験した時、“judge”の説明をせよ、という問題が 出た。 隣に聞くと、ホウカン(法官(司法官))と教えた。 子規は「たいこ もち、宴席において酒間を取り持つ」と書いたら、教官が面白いと合格になり、 教えた方が落ちた。 「たいこ」は口を叩くの義、<面の皮薄いとなれぬ幇間 ><幇間銅鑼を叩いて陣を敷き>。 吉原で修業すると、一流になれる、<大 門の内は幇間(たいこ)の本場なり>。

 野だいこは、百年も馴染んだチンコロのよう、「ようようすごい」と、自分の 方がよっぽどすごい。 穴釣り、陸(おか)釣りと、お客をダボハゼかなんか だと思っている、<餌のない陸釣りの凄まじさ>。 羊羹を二棹持って、穴釣 りへ。 明治座で会った中村屋の姐さんの家に行き、一八です、姐さんにお言 葉をかけて頂いたので、これは名刺代わり。 姐さんは湯治で、伊香保の方へ、 十日位帰らない。 よろしくお言付けを。 餌一本取られた。 喜久廼屋の姐 さん、お不動様で会ったっけ、しゃばっけがあってね。 姐さんは? 湯治で 湯河原、何か持っているんじゃない、上って行きなさいよ、藤村の羊羹か何か じゃないの。 お弁当箱。 芸人が、お弁当箱? カッケの気味でね、麦飯を 朝昼晩持参で。 時分どきだから、ウチでつかいなさいよ、お漬物でも出しま すから。 危ない、危ない、餌に飛びついて来たよ、驚いたね。 穴釣りは駄 目だ。

 暑いね、じりじりと、溶けて影になりそうだよ。 影は、羽織を着てました、 なんてね。 いい上布だね、綴れの帯に、パナマの帽子、ああ、車に乗って行 っちゃったよ。 また、来た。 どっかでお目にかかったよ、浴衣だからご近 所だ。 あの節は、酔いました。 何時、お前と飲んだ、どこで? 柳橋で。  麻布の寺だ、歌沢の師匠が死んだろ。 お宅は、どちらで? センのとこだ。  どこかへお出かけで? 浴衣に手拭だよ。 ちょいと空腹の気味、オナカが数 寄屋橋で。 安の直なところで、鰻でも食うか。 いいですね、土用の内です、 前川か、竹葉か。 いいや、近くで。 ウチへお出でよ、役者衆の反物が溜ま っちゃって。

 ここだよ、おれは鰻見るから、師匠、二階へ。 なるほど、けっこうなお宅 じゃないよ。 子供が机かかえて、降りて行ったよ、手習いしてたんだ。

 酒、来たよ。 間がいいね。 大将、お一つ。 お酌を。 あとは、自分で やります。 新香、焼けて来る間につなげるよ、新香で。

 お宅は、どちらでしたっけ。 センのとこだ。 焼けて来たよ。 早いね、 バカ早だな、出前をこっちに回したんじゃないだろうな。 冷めちゃあ、いけ ません、<冷めての上のご分別>ってね。 トロッとするね、ワウ。 うるせ えな。