「ワシントンの子孫如何と問う」とマウントバーノン2014/08/04 06:45

 福沢諭吉が咸臨丸で初めてアメリカに行った時、万延元年・1860年のことだ が、『福翁自伝』に「ワシントンの子孫如何と問う」という小見出しで、有名な エピソードが書かれている。  「ところが私が不図(ふと)胸に浮かんで或る人に聞いてみたのは外(ほか) でない、今ワシントンの子孫は如何(どう)なっているかと尋ねたところが、 その人の言うに、ワシントンの子孫には女がある筈だ、今如何しているか知ら ないが、何でも誰かの内室になっている様子だと如何(いか)にも冷淡な答で、 何とも思って居らぬ。これは不思議だ。勿論私もアメリカは共和国、大統領は 四年交代ということは百も承知のことながら、ワシントンの子孫といえば大変 な者に違いないと思うたのは、此方(こっち)の脳中には、源頼朝、徳川家康 というような考えがあって、ソレから割出して聞いたところが、今の通りの答 に驚いて、これは不思議と思うたことは今でも能(よ)く覚えている。理学上 のことについては少しも肝を潰すということはなかったが、一方の社会上のこ とについては全く方角が付かなかった。」

 7月22日BSプレミアムの「世界ふれあい街歩き」で、「ワシントンD.C. (アメリカ)」が放送された(語り・小倉久寛)。 ホワイトハウスの周辺や市 場などを歩いた後、ポトマック川の観光船に乗って、バージニア州マウントバ ーノンへ行った。 私はぜんぜん知らなかったのだが、そこにはジョージ・ワ シントンの邸宅とプランテーション、夫妻の墓があった。 1960年にアメリカ 合衆国国定歴史建造物に指定され、現在はマウントバーノン婦人協会による信 託で所有され維持されているという。

質素な夫妻の墓の前に、係の女性が来て、朝のセレモニーが行われた。 周 りにいた20人ほどの観光客も皆、星条旗に向かい、胸に右手を当て、こう唱え た。 “I pledge allegiance to the Flag of the United States of America, and to the Republic for which it stands, one Nation under God, indivisible, with liberty and justice for all.”

「私はアメリカ合衆国の国旗と、その国旗が象徴する共和国、神の下に一つと なって分かたれず、全ての人に自由と正義が約束された国に忠誠を誓います。」 

その場の皆さんが、その言葉も、唱える姿勢も知っていたのは、アメリカの小 学校で毎朝唱えられているという「忠誠の誓い」だからなのだろう。 そして、 係の人が質素な花輪を、ワシントンの墓に供えた。

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