春風亭百榮の「やかん泥」2014/11/29 06:39

 フンニャと出て、百榮(ももえ)でございます。 髪が多く、ベタベタしゃ べる。 山口ではない、日本で一番汚いモモエ、落語研究会は三回目、榮助で 一度、真打になって一度出た。 この会はネタ出しをしてやる。 今日の噺は、 どう長くやっても10分しかかからないから、ぼんやりと、時間をつぶす。

 寄席では「三ぼう」の話はしてもよいという。 どろぼう、けちんぼう、つ んぼう。 客席にはいない、いても文句は言わない。 だが今は、つんぼうの 話をすると、ブログが炎上する。 どろぼうの話をすると、殺されるかもしれ ない。 死を覚悟しながら、泥棒の話をする。

 料理屋が無尽で百両取ったというので、泥棒に入った。 金を出せ。 料理 も出せ。 出しますが、商売だから払ってもらいたい。 鯉の洗いと鯉こく。 旨かった、いくらだ。 百両。 仕方がないから、払って表に出ると、見張り が、親分、中の首尾は? シーーッ、こいが高い。

 先代の文楽師匠、黒門町が十八番(おはこ)にした噺を、ぼちぼち帰りたく なったから、始めます。 親分、こないだ小じんまりしてシマリの悪い西洋館 に入りました、東洋館じゃない、西洋館。 それが大笑い、公衆便所でね、雑 巾と竹ぼうきを持って来た。 親分の家を掃除した時に使いました。 汚たね えな。

 手頃な家を丸一日探して、目星をつけました。 抜き足、差し足って、教わ ってますからね。 怪しまれねえように、家を出る所から、やっていたら、足 がおかしくなりました。 かえって、怪しまれるじゃねえか。 俺と一緒に来 い、教えてやるから。

 草木も眠る丑三つ時。 親分、どこの家に入るんで。 しゃべるんじゃない、 こっちだよ。 ここの家ですか。 大きな声を出すから、ちっとも仕事になら ないじゃないか。 (と、怒ってボンボンとぶつ。) 痛えな、どっちが悪いか、 ここの家の人に聞いてみよう。 馬鹿!

 垣根の外で待っていろ、俺が渡すものを、受け取れ。 親分、これは何です か、お釜だ。 鉄瓶…、鍋…、あっ、フタがありません。 金ダライだ、景気 をつけて、「ボーーン!」。 叩くな。 「ガラン、ガラン、ガラーーン!」。 馬 鹿、落とす奴があるか、脇の下から冷や汗が出た。

 余り騒がしいので、当家の隠居さんが、六尺棒を持って出てきて、おのれ泥 棒をつかまえてやろうと、垣根からヒョイと頭を出す。 やぁ、親分、今度は 大きなヤカンだ。